11/2(木)、コンペティション『スパーリング・パートナー』の上映後、サミュエル・ジュイ監督、マチュー・カソヴィッツさん、ソレイマヌ・ムバイエさんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
サミュエル・ジュイ監督:こんばんは(日本語で)。日本に、そして東京で過ごす日が長くなればなるほど東京も日本も好きになっていきます。私とソレイマヌは初めて日本に来ました。マチューは何回か来ているんですけど、今日が3日目で本当にどんどん好きになっていきます。そして、歓迎してくださってありがとうございます。
マチュー・カソヴィッツさん:英語で話しますね。フランス語通訳の人を少し休ませてあげます(笑)。
東京は何度も訪れたことがあるんですけども、訪れるたびに本当に驚いています。文化、そして人々、もちろん街自体にも驚いています。来るたびに嬉しく思いますし、特に今回はこういった映画を持ってこられて、すごく良かったと思います。日本の文化というのは非常に倫理的なところがあるといいますか、人と社会の関係に重きが置かれているところがあると思うのですが、この映画も人と人とのやり取りというものが描かれていますので、日本で見せることができたのはとても良かったと思います。
ソレイマヌ・ムバイエさん:こんばんは、東京(日本語で)。とても嬉しく思っております。監督が言ったとおりです。東京は良いところだと知っていたのですが、目で見るほうがさらに良いです。そして、日本はボクシング大国でもあります。ですから、毎年私たちの作品を選んでくれるしかないですよね(笑)。
Q:この映画の音楽について?
サミュエル・ジュイ監督:音楽は、オリジナルで、妻役をやっているオリヴィア・メリラティが作曲をしております。彼女は撮影に参加して実際に妻役を演じているがゆえに、感情を深く理解して解釈をしたものを音楽に入れこむことができました。
THE Dø(ザ・ドー)という日本でも知られているグループの歌手なんですけど、彼女の音楽は、まさに主人公のスティーブの魂とかお互い落ち込んだ様子とか孤独とか、その内面を表しているんです。特にオリヴィアとの仕事は面白かったです。私が編集している間に彼女が音楽を作曲してくれて音楽を付けてという作業を、楽しみながらやりました。
Q:彼女の演技も素晴らしいのですが、マチューさん、彼女との夫婦役で、工夫されたことはありますでしょうか?
マチュー・カソヴィッツさん:私のお尻ですね(笑)。
「お尻に手を置いたらどうかな?」と監督が言ってくれて、彼女に一度だけじゃなく何度か触られました。そこでカップルがうまくいくという雰囲気が生まれたんだと思います。
ボクサーにとっては、妻という存在がとても重要で、なんといってもサポーターのNo.1は妻であり家族であるからです。ですから、心が一つになっている家族の存在が必要です。それがいなければ、スティーブは存在しないということなんですね。ですから、お尻に手を当てることがカップルの秘訣であるということです。
彼女は若く初めての演技だったので、すごく不安を感じながら撮影現場に来ました。ですので、お尻に手を置いたことがとても助けになったわけです(笑)。
Q:ソレイマヌさんは元ボクサーとして、マチューさんにアドバイスしたことはありますか?
マチュー・カソヴィッツさん:アドバイスはしていません。リングで彼は私を打ち負かそうとし、私は彼を演技で打ち負かそうとしました。
サミュエル・ジュイ監督:ソレイマヌは初めて演技だったので、最初に撮影をしたときには普通だったら、マチューは俳優としてアドバイスをしたりすることを想定しましたが、全くそんなことはせずにほったらかしにしていました。ソレイマヌはかえってリラックスをしてよかったのではないかと思います。ボクシングをやった時はとても楽しんだよね。
マチュー・カソヴィッツさん:ソレイマヌさんは本当にチャンピオンでプロの方なので、本当に打ち合ってはいるんですけど、殺さずに触るような感じでした。
Q:ソレイマヌさん、ボクサーとしてのマチューさんはどうですか?
ソレイマヌ・ムバイエさん:聞かないでください(笑)。逆に質問されたら「いい俳優だった」って言うんですよ。
撮影の時にはボクシングらしく、なるべく本物らしくしました。
Q:ソレイマヌさんについて?
マチュー・カソヴィッツさん:天才的な役者だとは思いますが、ボクシングを続けたほうがいいんじゃないかなと思います(笑)。
Q:スパーリングパートナーにスポットを当てられたきっかけは?
サミュエル・ジュイ監督:ボクシングをあまり知らない、あるいは、いくつかの映画を通して表面的にしか知らない場合、やはり、きらめくものに惹かれるわけです。例えば、ロッキーは輝くチャンスがあったっていう設定に映画ではなっていますが、実際のボクシングでは作業員のようなボクサーもいるわけです。
日常的に毎日ボクシングをやって、それで日々の糧を得ていて、実際にこの映画の中で描かれているマチューが演じたような人がいます。人生の中にはそういう目立たない人は必ずいるもので、そういう人にカメラを、スポットを当てたいと思ったのがきっかけです。
そして、チャンピオンが脇役になるのも面白いんじゃないかなと思いました。スパーリングパートナーというのは、俳優とちょっと共通するものがあるなと思いました。私自身も俳優なので、それが面白いなと思いました。
Q:娘のオロールちゃん役のビリー・ブレインちゃんはどうやって見つけたのですか?
サミュエル・ジュイ監督:彼女との出会いは本当にラッキーで、本当にいい女優さんなので、チャンスに恵まれたと思っています。彼女は初めての映画出演だったので、これからも増えて欲しいと思っています。生まれながらにして女優といわれることが良いことかどうかわからないですが、彼女は自分の内面をすごく真摯に本物を見せることができる、そして耳を傾けてきちんと反応を演技の中で見せられます。そういった意味で本物の女優だと思います。
マチュー・カソヴィッツさん:本当に彼女は未来のスターだと思います。彼女と一緒に演技をしていた時に本当に感心しましたし、本当にすごいと思いって監督と二人で目を合わせた瞬間もあったんです。もちろん私が食われてしまったシーンもあるんですけども、それによってシーンが活きたところもあるので良かったと思います。すごく共感できますし、それから彼女が父親を見る目は素晴らしいし感動できると思います。彼女の役はこの映画でとてもカギになる部分だったと思うので、監督が彼女を見つけたことが凄くラッキーでした。我々はこれからずっと、30年後も彼女を見続けることになるでしょう。
司会:最後に三人から一言ずつお願いいたします。
マチュー・カソヴィッツさん:勝ちたいです!(観客賞は)僕たちに投票してください!
サミュエル・ジュイ監督:皆さんと交流できて本当に楽しい時間を過ごしました。
ありがとうございます。(日本語・英語・フランス語)
ソレイマヌさんが言った通り来年も来ますね。同じ映画でいいですか(笑)。
おやすみなさい(日本語)
チャンピオン!
ソレイマヌ・ムバイエさん:ありがとうございます。東京に来られて本当に嬉しいです。またすぐに戻ってこなくてはと思います。
日本語で撮りたい映画があったら私、出演しますから遠慮なく提案してください。