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本年度審査委員

コンペティション部門国際審査委員

審査委員長

トミー・リー・ジョーンズ

トミー・リー・ジョーンズ

Tommy Lee Jones

俳優/監督

テキサス州サンサバ生まれ。父とともに油田で働いたのち、セント・マークス・スクール・オブ・テキサスに進学。その後ハーバード大学で英語を専攻し、優秀な成績で卒業した。『ある愛の詩』(70)で映画デビューし、40年以上にわたり活躍している。出演作は70本以上で、アカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞などの映画賞の受賞・ノミネート多数。1994年、大ヒット作『逃亡者』でアカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞を受賞。監督、プロデューサー、主演を務めた2005年の『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』は批評家に絶賛された。この作品は05年のカンヌ映画祭コンペティション部門に出品され、男優賞を受賞。15年にはオースティン映画協会のテキサス・ホール・オブ・フェイムを受賞し、ハリウッドで最も称賛されるベテラン俳優のひとりとして知られている。公開待機作 “Just Getting Started” ではモーガン・フリーマン、レネ・ルッソと共演し、『タイ・カップ』の監督ロン・シェルトンと再びタッグを組んだ。最近、ロブ・ライナー監督の “Shock and Awe”、ブラッド・ピットと共演したジェームズ・グレイ監督の“Ad Astra”の撮影を終えたばかり。

あいさつ
「東は東、西は西。両者がまみえることは決してない」と書いたラドヤード・キプリングは間違っていましたし、彼も自覚していました。現代美術、建築、デザイン、映画の傑作は東西が出会うまさにその所で生まれています。だからこそ、私は今ここにいられることを嬉しく思います。すべての映画人は互いの恩恵に与り、映画学校以上の教育を与えあっています。そういう学びの場を提供する東京国際映画祭の今年の審査委員の一員に選ばれて光栄です。あらゆる人々に、あらゆる人々についての感情的・知的理解をもたらす作品を称えたいと思います。もちろん、審査委員として映画技術については鋭く見極めます。個人的に、日本は親しみと寛ぎを感じる国です。喜んで東京国際映画祭のお役に立ちたいと思います。

審査委員

レザ・ミルキャリミ

レザ・ミルキャリミ

Reza Mirkarimi

映画監督/脚本家/プロデューサー

テヘラン生まれ。ファイン・アーツ大学でグラフィック・アーツを学ぶ。1987年に短編映画の制作を始め、続いて若者向けの2本のテレビシリーズを手掛ける。最初の長編映画『少年と兵士』(99)は国内外で賞を獲得し、2001年にフランスで公開。同年、社会・宗教問題を扱った長編2作目『月の光の下に』(00)で第40回カンヌ映画祭批評家週間最優秀長編作品賞、東京国際映画祭コンペティション部門最優秀監督賞、審査員特別賞を受賞。今までに『こんなに近く、こんなに遠く』(05)『花嫁と角砂糖』(11)“Today”(14)の3作品が米国アカデミー賞外国語映画賞部門のイラン代表に選出されている。第4作“As Simple as that”(07)と最新作 “Daughter”(16)が、それぞれ第30回と第38回のモスクワ国際映画祭でグランプリを受賞。第39回モスクワ国際映画祭の審査員長などいくつかの国際映画祭の審査員を務めたことがあり、15年からはファジル国際映画祭のディレクターを務めている。

あいさつ
初めて東京国際映画祭に参加したとき、芸術と映画は政情や偏見に軽やかに立ち向かえるものだと深く感じました。あれは2001年、9.11の悲劇から1か月余り経った頃でした。メディアは反イスラムのプロパガンダで溢れていました。出品した監督2作目の『月の光の下に』は、若いイスラム神学生の人生と葛藤を描いた物語です。若手だった私は、巷の論議に関係なく、観客も審査委員もその作品を観ることができ、温かく受け入れてくれる現実を目の当たりにして心が震えました。今年、審査委員として東京に戻りますが、これまでの経験から審査は映画制作と同じくらい難しいと思います。人は映画を、世界中の扇動報道が掲げるあらゆる非芸術的、非美的、非文化的な尺度などに関係なく、理解できなければならない。これが私の常なる信念です。
ヴィッキー・チャオ(趙薇)

ヴィッキー・チャオ(趙薇)

Zhao Wei

女優/映画監督

中国を代表する人気女優のひとり。北京電影学院在学中に連続TVドラマ「還珠姫 ~プリンセスのつくりかた~」に主演し、絶大な人気を得た。その後、チャウ・シンチー監督の『少林サッカー』(01)、ジョン・ウー監督の歴史大作『レッド・クリフ』(09)、ジョニー・トー監督の『ホワイト・バレット』(16)などに出演し、国際的スターの道を歩む。『初恋の想い出』(05)の優れた演技により、上海国際映画祭で最優秀女優賞を獲得。ピーター・チャン監督の『最愛の子』(14)で見せた卓越した演技は、香港電影金像奨や香港電影評論学会大奨を含む7つの女優賞をもたらした。2013年に初監督作『So Young ~過ぎ去りし青春に捧ぐ~』を発表。批評家に高く評価されると共に中国での興行成績記録をいくつも塗り替えた。16年には第2作目の最初の撮影を終えている。同年、第73回ヴェネチア映画祭の審査員を務めた。

あいさつ
映画は夢です。かつてフェデリコ・フェリーニはこう言いました。「ビジョンを持つ者だけが本物のリアリストだ」と。映画の中で、人は本性を隠せません。誠実になり、ありのままになり、本来の残酷さや傷をさらけ出さずにはいられない。そして尽きることのない戸惑いと慈悲の心を抱くのです。その一方で、映画は世界の他者と対話できるユニークな方法であり、素晴らしいプロセスです。夢は、いつかは覚めるものですが、映画の夢は永遠の愛を通して見続けられるものです。
マルタン・プロヴォ

マルタン・プロヴォ

Martin Provost

映画監督

1990年代に俳優から映画監督に転身し、2本の短編 “J'ai peur du noir”と“Cocon”(92)を監督。97年に初長編監督作のコメディ“Tortilla y cinem”を発表。2002年、親子関係を描いた“Le ventre de Juliette”の脚本、監督を手掛けた。その後、ヨランド・モロー主演『セラフィーヌの庭』が作品賞、脚本賞、女優賞を含む7つのセザール賞を受賞。 “The Long Falling”(11)で再びモローと組み、女性を描くことが定番となった。『ヴィオレット ある作家の肖像』(13)では戦後のサン=ジェルマン=デ=プレを舞台にヴィオレット・ルデュックとシモーヌ・ド・ボーヴォワールの濃密な友情を綴った。17年、『ルージュの手紙』はカトリーヌ・フロとカトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、助産師と彼女の亡き父の愛人との奇妙な関係を描いた。

あいさつ
私にとっての日本は、私の作品と密接に結びついています。『ヴィオレット ある作家の肖像』で2015年に初めて日本に行き、その後は『ルージュの手紙』のときに。同作は今年末に日本で劇場公開される予定です。どちらの訪問も短い滞在でしたが、私たちヨーロッパ人を魅了してやまない日本の文化、伝統を存分に味わえた濃密なひとときでした。京都の寺や庭園の静謐な美や、直島の印象的な現代アートに夢中になりましたが、個人的に最も感動したのは鎌倉の小津安二郎監督の墓に参拝したときです。時間の流れの止まったあの空間の、迷宮のような境内に茂る緑の中で、私は完全に道に迷い、墓石を見つけるまでにかなりの時間がかかりました。そこには栓の開いた酒瓶がきれいに並べられ、吸い殻入りの灰皿には火のついた1本の煙草があり、朝の空気に煙が静かにたゆたっていました。私のほかにも参拝者がいて、ここで監督とのひとときを過ごしたのでしょう。空気を通して友情を結ぶ――それは妙に厳粛ながらも楽しい出来事でした。
永瀬正敏

永瀬正敏

Masatoshi Nagase

俳優

1983年『ションベン・ライダー』でデビュー。『息子』(91)で日本アカデミー賞他10映画賞の主演・助演男優賞を総なめに。『学校Ⅱ』(96)『誘拐』(97)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を2年連続受賞、『隠し剣鬼の爪』(04)で同優秀主演男優賞を受賞。カンヌ映画祭芸術貢献賞受賞の米映画『ミステリー・トレイン』(89)、ロカルノ国際映画祭グランプリ受賞の香港映画『アジアン・ビート(香港編)オータム・ムーン』(91)、リミニ国際映画祭グランプリ、エジンバラ国際映画祭監督賞、トリノ国際映画祭審査員特別賞を受賞したアイスランド映画『コールド・フィーバー』(95)などの海外作品でも主演を務める。『毎日かあさん』(11)で日本映画批評家大賞主演男優賞受賞。台湾映画『KANO』(14)(邦題:『KANO 1931海の向こうの甲子園』)では、中華圏以外の俳優では史上初となる金馬奨最優秀男優賞にノミネート。カンヌ映画祭ある視点部門オープニング作品、バレッタ映画祭ベストフィルムアワード受賞の『あん』(15)では国内外の男優賞多数受賞。 近年は『ロクヨン』『後妻業の女』等に出演。今年は河瀨直美監督『光』、ジム・ジャームッシュ監督の『パターソン』が公開。『光』は、今年のカンヌ映画祭のコンペティション部門に日本作品で唯一選出され、『あん』『パターソン』『光』とカンヌで出演作が3年連続ノミネートされた日本初の俳優となった。写真家としても活動し、現在までに多数の個展を開いて20年以上のキャリアを持つ。

あいさつ
この30回目という記念すべき年に、審査委員と言う大役の話を頂き、まだまだ若輩者の自分で大丈夫なのか?と色々考えましたが、お声をかけて頂いた事だけでも、とてもとても光栄な事。映画に対する溢れんばかりの愛情が惜しみなく注がれた作品に、審査委員の皆さんといち早く出会える事を感謝しなければならないな、と。普段“演じる”と言う立場にいる自分には、全ての作品に込められた沢山の“想い”と言うのは痛いほど分かります。出来る事ならその作品全部にグランプリを!と言う願いもありますが、素晴らしい審査委員の皆さんと共に、僕も同じ様に皆さんの“想い”を胸に抱え、一作品、一作品しっかりと拝見したいと思っています。

アジアの未来 審査委員

作品賞 審査委員

ホセ=ルイス・レボルディノス

ホセ=ルイス・レボルディノス

José Luis Rebordinos

サン・セバスチャン国際映画祭ディレクター・ジェネラル

20年以上さまざまな映画祭のディレクターを務め、 2011年サンセバスチャン映画祭のディレクター・ジェネラルに着任。バスク地方の映画作家とアジア映画に関する共著が数冊ある。2015年スペイン文化省から芸術功労金章を受章した。

オ・ジョンワン

オ・ジョンワン

Oh Jungwan

映画プロデューサー

ボム・フィルム・プロダクションの創始者。韓国で数多くの作品を製作し尊敬を集めるプロデューサーのひとりである。保守的な概念を打ち破る独自のスタイルで、『スキャンダル』『甘い人生』『浜辺の女』などを多数製作。

行定勲

行定勲

Isao Yukisada

映画監督

『ひまわり』(00)で釜山国際映画祭の国際批評家連盟賞、『GO』(01)で日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)がメガヒットを記録。以降『春の雪』(05)ほか話題作を作り続け、『パレード』(10)ではベルリン国際映画祭パノラマ部門・国際批評家連盟賞受賞。最新作『ナラタージュ』が10月公開、岡崎京子原作『リバーズ・エッジ』は18年公開予定。エッセイ集「きょうも映画作りはつづく」が発売中。

国際交流基金アジアセンター特別賞 審査委員

ニック・ディオカンポ

ニック・ディオカンポ

Nick Deocampo

フィリピン大学フィルム・インスティトゥート准教授

数々の賞を受賞しているドキュメンタリー映画作家。映画史家であり、フィリピン大学フィルム・インスティトゥート准教授。ニューヨーク大学にて修士号(映画学)を取得し、パリで映画製作課程修了。住友財団、国際交流基金などのフェローシップや助成金を得て、映画製作・研究を進めている。

松本正道

松本正道

Masamichi Matsumoto

シネマテーク・ディレクター

1979年よりアテネ・フランセ文化センターのプログラムディレクターとして年間200本以上の世界の映画を上映。98年より映画美学校の共同代表。2009年から官民が協力して映画上映の場を確保するコミュニティシネマセンターの理事を務める。

日本映画スプラッシュ

作品賞 審査委員

ジェイコブ・ウォン(王庆锵)

ジェイコブ・ウォン(王庆锵)

Jacob Wong

香港国際映画祭キュレーター

20年以上の間、香港国際映画祭協会(HKIFFS)で活躍。現在、香港国際映画祭(HKI FF)キュレーター、香港アジア・フィルム・ファイナンシング・フォーラム(HAF)ディレクター。最近、HKIFFの映画業界関連の活動を発展させるためのフィルム・インダストリー・サービスのディレクターに着任した。ベルリン映画祭の東アジア地域担当、なら国際映画祭のプログラムアドバイザーも務めている。

ナシェン・ムードリー

ナシェン・ムードリー

Nashen Moodley

シドニー映画祭ディレクター

シドニー映画祭ディレクター。6年前に着任して以来、同映画祭を目覚ましい成長に導いてきた。ダーバン国際映画祭のマネージャー/プログラミング部門リーダー(2001年~2011年)、ドバイ国際映画祭のプログラミングコンサルタント(2005年~現在)としても指導的役割を務めている。

柳町光男

柳町光男

Mitsuo Yanagimachi

映画監督

茨城県生まれ。早稲田大学法学部在学中から映画作家を志し、シナリオ研究所に通う。1976年に第1作『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』を完成。『十九歳の地図』(79)『さらば愛しき大地』(82)『火まつり』(85)『チャイナシャドー』(90)『愛について、東京』(92)ドキュメンタリー『旅するパオジャンフー』(95)を発表。2005年には10年ぶりとなる監督作品『カミュなんて知らない』で東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞受賞。同作はカンヌ国際映画祭監督週間、ニューヨーク映画祭にも正式出品された。第19回東京国際映画祭にてコンペティション国際審査委員を務める。

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