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2017.11.17 [イベントレポート]
「善と悪というのは白黒はっきりつけられるものではなく、その境界はぼやけています。」11/2(木):Q&A『スヴェタ』

スヴェタ

©2017 TIFF
10/27記者会見に登壇した(左から)ロマン・リスツォフさん、ラウラ・コロリョヴァさん、ジャンナ・イサバエヴァ監督

 
11/2(木)、コンペティション『スヴェタ』の上映後、ジャンナ・イサバエヴァ監督、女優のラウラ・コロリョヴァさん、俳優のロマン・リスツォフさんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
日本手話通訳協力:TA-net シアター・アクセシビリティ・ネットワーク
 
ジャンナ・イサバエヴァ監督:皆様、今回の映画祭にお招きいただき、ありがとうございました。このような映画祭に参加させていただき、とても光栄に思います。
私はこの仕事をしているとき、この作品を作っている最中は自信がなかったんです。このような映画を作ったところで誰が観てくれるのだろうかと。私にとっても試験的な試みでした。もしうまく出来ればお見せする機会はあるだろう、うまく作品が撮れなかったとしても今後の経験として活かしていこうと、そういうことまで思っていました。結果、このように日本で上映することができて本当に嬉しく思っています。
 
ラウラ・コロリョヴァさん:私の名前はラウラと申します。作品の中ではスヴェタ役で主演をしています。普段の生活では、私は聴覚障害者のための文化会館で手話による歌を教える仕事をしています。
今回映画を通して、このように皆さんとお会いすることができ、非常に嬉しく思います。
そして、実生活において、私には家族が、夫と一人娘がおります。
 
ロマン・リスツォフさん:【手話にて ラウラさん訳】私の名前はロマンです。作品の中ではルスランという役を演じております。普段は写真を撮る仕事をしていますが、俳優になりたいとも思っていましたので、今回このような形で夢が叶って非常に嬉しく思っています。
作品は非常に深い内容を伴っていて興味深いものです。複雑で難しい局面もありましたが、このように作品の撮影を終えることができて非常に嬉しく思っています。
 
Q:監督、この素晴らしいスヴェタ役のラウラさんとはどうやって出会われたのでしょうか?
 
ジャンナ・イサバエヴァ監督:私にとっても、今回ラウラのような女性を発見できたのは大きな成果でした。実はこの作品を撮る前に役柄に適した人材が見つかるかどうか、自信がなかったんです。
見つからなければ撮るのを止めようと思っていたんですけど、ある日ラウラさんと出会いました。彼女が部屋に入ってきたときに、一目見て彼女が持つ強大なエネルギー、才能、力というものに私は感銘を受けました。
 
Q:この作品のように個性的で、聴覚障害者向け作品は他にもありますか?
 
ジャンナ・イサバエヴァ監督:今回このような作品を作ってみようと考えた際に、似たような聴覚障害者が出演している作品はないかということを、私自身インターネットなどで検索しました。皆さんご存知かと思いますが、ウクライナ映画の『ザ・トライブ』という作品には非常に大きな印象を受けました。
ただ、今回の作品に関しては自分自身の研究という意味合いもあって撮ったということもあります。私自身、聴覚障害者の方への先入観として、自分の殻に閉じこもったところがある、あるいはコンプレックスに苛まれているという印象を抱いていたんです。ですが、実際に彼らのことを深く知るにつれて、彼らは非常に友好的で交流的でおしゃべりだと分かりました。
ご質問の、ユニークなものかということですが、私自身の中ではこの作品は非常にユニークなものであったと思います。自分自身にとっても新しい世界が一つ開けたというように考えております。
 
Q:映画を観る際は字幕でご覧になりますか?手話がついて作品をご覧になりますか?
 
ラウラ・コロリョヴァさん:手話で観るのが私にとっては一番都合がいいと思っております。子供の時から手話を勉強していますし、手話の方が慣れております。
 
ロマン・リスツォフさん:【手話にて ラウラさん訳】私にとっても手話で観る方が快適です。私はロシア語が分かるのでロシア語の字幕で読むことはできるのですが、それ以外の外国語の字幕に関してはやはり手話がついていた方がいいと思います。世界にはこういった聴覚障害者の方がいるのだということを認識していただけたらなと思います。
 
Q:このストーリーをどのようなきっかけで思いついたのか、エピソードやきっかけがあったら教えてください。
 
ジャンナ・イサバエヴァ監督:どのように思いつくかは、非常に難しいご質問だと思いますけれども、私がこの作品の中で示したかったことは、主人公をどうしようもない状況の中に置きたかったということです。複雑で苦しく、困難な状況に置き、だからこそ主人公が非常にラディカルな行動に出てしまう。その下地として、あのようなストーリーを作ったのだと思います。にっちもさっちもいかない状況からラディカルな激しい行動に出てしまったわけですが、どのような作品が出来上がってしまったのかということは私自身まだ答えが出せていません。
 
Q:はっきり白黒がつかないような、善と悪の間のところに関心があると思いますが、いかがでしょうか?
 
ジャンナ・イサバエヴァ監督:非常に重要な質問をいただき、ありがとうございます。
私にとっては善と悪の間のはっきりとした境界はありません。私の考えとしては、非情な極悪人であっても何か善行を行うことができると思いますし、また逆に、いわゆる善人と呼ばれる人もひどい状況に置かれることによって重罪を犯してしまうこともあると思います。善と悪というのは白黒はっきりつけられるものではなく、その境界はぼやけています。
 
Q:私は耳が聞こえないのですが、今日の映画は手話も、英語の字幕も日本語の字幕も付いていて素晴らしいと思いました。
日本で作られた日本の映画には字幕がなく上映されるものがほとんどですが、ロシアではどういう状況でしょうか?

 
ラウラ・コロリョヴァさん:私の国で手話通訳が入るのはテレビのニュースのときのみです。例えば映画館で映画を見るときにはもちろん手話はありません。ですので、自分が本当に見たい作品があった場合にどうするかというと、後日インターネットで検索をして、それに字幕を付けてその作品を鑑賞します。
 
Q:今日の上映では日本語の手話通訳はいます。でも、国際手話やロシア語の手話通訳はありません。この状況についてどう思いますか?
 
ロマン・リスツォフさん:【手話にて ラウラさん訳】国際映画祭ということですので、このような場面で国際手話のできる手話通訳の方がいらっしゃったら、その方がよかったのではないかと思います。英語は世界の共通言語になりつつありますので、手話に関しても国際手話を採用していただければよかったのではないかと思います。
 
ジャンナ・イサバエヴァ監督:監督として、その点に対して一言コメントをさせてください。
今回の私たちの来日にあたりまして、東京国際映画祭の事務局の方とはもう2か月に渡りいろいろとやり取りをして参りました。私たちの受け入れに関して、事務局の方は非常に、最大限できる限りのことをしようと努力をしてくださいました。そして、ロシア語の手話がいらないということに関しましても、私たちがそのように話をして決めた結果ですので、それに関しては私のほうからは何も言うことはございません。
事務局の方は非常にいろいろと親切にしてくださって、東京国際映画祭のプログラムの内容、充実していること、そして、私たち海外からの出品者を受け入れるにあたって様々なことをしてくださったことについて、私は心より御礼申し上げたいと思います。

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