10/31(火)、コンペティション『シップ・イン・ア・ルーム』の上映後、リュボミル・ムラデノフ監督、俳優のツヴェタン・アレクシエフさん、イヴァン・ディミトロフさんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
リュボミル・ムラデノフ監督:みなさんこんにちは。日本に来られて、とても嬉しいです。この作品を作ったとき私がずっと思っていたのは、この作品は東洋の考え方、特に日本人の考え方に近いのではないかということです。それは何かの特定した哲学とかそういう意味ではなくて、表現したかったのは一人一人が周りの世界をどういう風に見るかというと、お金を稼ぐための日常ではなくて、空白の日々だけではなく、社会階級を超えたという考え方です。小さなものに幸せや美しさを見つけるとか…。そういうことが、日本では保たれているのではないかなと私は考えています。
ツヴェタン・アレクシエフさん:私も、日本に来られて大変嬉しく思っております。私にとっての夢が叶ったのと同じです。
イヴァン・ディミトロフさん:(日本語で)ありがとうございました。
日本語でのあいさつが上手に出来なくて申し訳ありません。この素晴らしい映画祭に参加させていただけて、大変嬉しく思います。
Q:作品中の映像をどのように選んだのか、映像には演出がありましたか?
リュボミル・ムラデノフ監督:何故、私がその映像を選んだかというと、なかなか答えにくい質問です。その理由は私が伝えたかったメッセージは誰でもがバスや電車を待っているとき、ただ自分の目の前に他の人がいてその人を見つめているときに感じたこと、そのままの自然な感じです。別に何かの理論に従って映像を並べたわけでもなく、ナチュラルな感じを観客にも感じて欲しかったのです。
二番目の質問に関しましては、私は最初、そのままの景色で生の映像を使いたかったのですが、時間も手間もかかるという事で、それは諦めてある程度まで演技も入った映像を使用しました。
Q:日本とブルガリアの違いを感じた部分はありますか?
イヴァン・ディミトロフさん:私は一週間前から日本にいるのですが、日本とブルガリアはたくさん違うところがあるのだなと思いました。もし、もう少し長く居れば共通点にも気付くと思うのですけれども、今のところはどこか行く度にびっくりしています。
どこが一番違うかというとブルガリアはもう少し貧乏である感じですかね。
リュボミル・ムラデノフ監督:イヴァンさんからもコメントいただきましたが、日本とブルガリアの一番の違い、日本に来て際立って意識させられたことは、日本の市民社会が非常にうまく機能しているところです。皆さんお互いのことを思いやって行動しているように見受けられました。ブルガリアではなかなかそうはいかないのです。これはおそらくは、ソ連崩壊後の時代を生きているわけですから、そういったこともあるのかもしれません。共通点を述べるならば、一番感じることはやはりお互いに見つめ合い、感じ取るものは一緒である、皆人間であるということは、これもまた日本に来て感じました。
Q:BGM等を絞った演出、感情表現を抑えた演技、それらは意識されましたか?
リュボミル・ムラデノフ監督:そういった考えでこの作品を作ったのですけども、主な例はブルガリアで映画を作るにはなかなか予算が足りないんです。予算がとても少なくてそれをどういうふうに回すかは監督の一番大きな役目で責任を持つところです。
BGMに関して、音楽を入れると邪魔になるというか音楽を表すことではなく、俳優さんの演技に注目していただきたかったのでそういう点を絞りました。
ツヴェタンさんには少し叱られましたが(笑)。予算等が主な原因ではなく、内面的なところや東洋人の考え方について私自身の考え方を表現したかったからです。