11/1(水)、日本映画スプラッシュ『Of Love & Law』の上映後、戸田ひかる監督、プロデューサーのエルハム・シャケリファーさんと秦 岳志さん、ジェイソン・ブルックス撮影監督、出演した吉田昌史さんと山口貴士さんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
※『Of Love & Law』は日本映画スプラッシュ部門作品賞を受賞しました!
戸田ひかる監督:どうもみなさんこんにちは。今日は観に来てくださってありがとうございます。3年かけて作った映画です。皆さんからの質問を楽しみにしています。
吉田昌史さん:皆さんこんばんは。私はごにょごにょと喋るので、きっと聞き取りにくかったところが多かったと思います。僕は観るのが二回目ですが、分からないところは英語字幕を読んでいました。この映画が皆さんにとって何か考えるきっかけになれば、とても嬉しいです。
秦 岳志さん:こんなに多くの方に来ていただきましてありがとうございます。この映画祭がお披露目という事で心臓がバクバクしております。正に映画が世に出ていく、独り立ちしていく瞬間に、皆さんに立ち会っていただいて感慨深いです。映画は子供みたいだと考えると、ああすれば良かったな、こうすれば良かったな、と思うこともあります。是非、皆さんの意見や感想を聞かせていただいて、私たちが子離れできるように導いてください。
ジェイソン・ブルックスさん:皆さんこんばんは。この作品をワールドプレミアとして上映していただくことを東京国際映画祭の方々に感謝したいと思います。本当に私たちワクワクしております。私がドキュメンタリーを好きなのは、ドキュメンタリーを通じて人と人との愛情や、つながりというものを表現できるからです。素晴らしいコミュニティがあり、つながりがあるTIFFで上映できることを嬉しく思います。
エルハム・シャケリファーさん:まずはこの作品を選んでくださって、ありがとうございます。ドキュメンタリーが選ばれることは稀だと考えておりますが、大阪がベースの作品を、日本でワールドプレミアとして上映できることを大変嬉しく思っております。これまでいただいた反応にも感動しており、皆様からご意見などをお伺いできることを楽しみにしています。
Q:監督はどのようにして吉田昌史さんと南 和行さんに出会われて、彼らに映画を作ることを納得してもらえたのでしょうか。
戸田ひかる監督:大阪で前作を撮っていた2012年の初めにひょんなことから、お二人に会いました。カップルとしてオープンで、お互いの弱点を受け入れているとことが強みになっている。二人三脚でなんでも乗り越えいく二人に魅力を感じて、是非ドキュメンタリーを撮りたいと思いました。日本の社会の中でオープンにしていること、色々な悩みが全国から集まってくる弁護士という仕事をしていると聞き、そこから日本の色々な側面が見えてくる、個々が生き難さを抱えながらも頑張って生きているということが、二人を通して見えてくると思って、お願いしたら「はいどうぞ」って(笑)。実際はそんなサラっとではなく、ちゃんと話し合って、こういうことがしてみたいもありましたが、この映画を作ったことが、何か変化につながればいいなと思っています。
Q:吉田昌史さん、戸田ひかる監督の第一印象などを教えてください。
吉田昌史さん:割と率直に物事を言ってくれるし、いい意味で遠慮がないので、すごく良いなと思っていました。せっかく作品を作ってもらうのですから、表面的なものや、遠慮することでよく分からないものになっても意味がありませんので、自分自身に関してはNGの部分は作りたくありませんでした。ただ、プライベートとか仕事の関係でどうしてもダメな部分はあって、それに関してはきちんと話ができて、遠慮はしないけれど、守るところは守ってくれるということが分かっていたので、安心して撮ってもらうことができました。
Q:監督から撮影監督にどのくらい指示があったのでしょうか。あるいは、撮影監督の独自の判断で撮っているところもあったのでしょうか。
ジェイソン・ブルックスさん:監督から、ここが重要だから必ずカバーしたい、という指示がありましたし、撮影後に監督と何時間もシーンを観ながら細かい話し合いをしました。また、撮影が進むうちに直感的にこういったところをカバーすべきだという事も分かるようになりました。オフィスなど狭いスペースでの撮影は厳しい時もありましたが、幸運なことに吉田昌史さんも山口貴士さんも私がいても許してくれました。時には壁の上から撮ったり、木々の上から撮ったりという事もありました。
Q:出演の山口貴士さんがご到着。
山口貴士さん:弁護士の山口貴士です。南 和行さんと一緒に「ろくでなし子さん事件」弁護団の一員という形で映っております。よろしくお願いします。
Q:山口さんは映画をご覧になっていかがでしたか?
山口貴士さん:非常にバツが悪いですが、映画を観ていないのに登壇するのって僕だけですよね(場内笑い)。
Q:制作を始めた時点からストーリーがどのように進んでいくかは何となくイメージされていたのか、それとも結果的にこのようになったのかを教えてください。
戸田ひかる監督:自分が想像していたものに意外と近いものが出来上がりました。自然とそういう流れが生まれたのかなと思います。自分の法廷のシーンはカメラで追いかけまわされたくないというクライアントさんもいましたので、私たちがカバーできる案件もかなり限られていました。アウトサイダーとしてのリアリティー、という大きなテーマを描いていきたかったのですが、どのケースをフォロー出来るのかはかなり限られていました。しかし、驚いたことに思っていたものにかなり近く仕上がりました。
Q:監督はこれからも日本に関するドキュメンタリー映画を作っていきたいですか?
戸田ひかる監督:日本という幅広いテーマには、これからも何らかの形で関わっていくと思います。「外から覗いてみる日本」というのは自分のテーマですが、ドキュメンタリーで私が一番大切にしているのは、人と人のつながりですので、日本に限らず世界を舞台にこれからも作品を作っていきたいと思います。
Q:吉田昌史さんにとって、この映画に参加されたことは今後どのように意味を持っていくとお考えですか。
吉田昌史さん:自分を客観的に見ることが出来たかなと思います。忘れていた記憶や感情、車の中のシーンで喋っていることも、思い出そうと考えて話していたわけではなく自然に出てきました。色々なことが溢れ出てきたことで、自分を客観視してこれからどう進んでいくかということを考えるきっかけになったなと思っております。
そして、観ていただいた反応を聞いていると、個人だけに限られた思いではなく、色々な人に共通のものがあるのだと感じています。多くの人に観てもらって、その人たちが考えるきっかけになったらこんなに嬉しいことはないと思います。
戸田ひかる監督:吉田昌史さんが今言ってくれたように、色々な人が色々な思いを持って生きていると思うので、そういう思いをこの映画を通じて、話し合うきっかけになれば嬉しいと思います。