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2017.11.21 [イベントレポート]
「何気ない生活の中に、「幸福」だとか「大切なもの」があるんじゃないか、ということを捉えてみたいと思って作った作品です」10/31(火):Q&A『地球はお祭り騒ぎ』

地球はお祭り騒ぎ

©2017 TIFF
10/28にも同じメンバーでご登壇された際の様子。(左から)渡辺紘文監督、今村 樂さん、方 又玹さん、渡辺雄司さん

 
10/31(火)、日本映画スプラッシュ『地球はお祭り騒ぎ』の上映後、渡辺紘文監督、音楽を担当した渡辺雄司さん、俳優の今村 樂さん、撮影監督の方 又玹さんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
渡辺紘文監督:『地球はお祭り騒ぎ』監督の渡辺紘文です。本日は、平日の15時からという上映時間にもかかわらず、ご来場いただきまして誠にありがとうございました。皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 
渡辺雄司さん:皆さん、ご来場いただきありがとうございます。この映画の音楽監督とプロデューサーを共同で務めた渡辺雄司です。先ほど、観客席で一緒に観ていたんですけど、少し心があったかくなるような作品に仕上がっていて、嬉しいなと思います。今日はありがとうございました。
 
今村 樂さん:本日はご来場くださいまして、本当にありがとうございます。主演をさせていただきました、今村 樂と申します。最後までQ&Aをよろしくお願いいたします。
 
方 又玹さん:撮影の方 又玹です。観に来ていただいて、本当にありがとうございました。
 
Q:この映画の制作のきっかけは?
 
渡辺紘文監督:元々、「ロードムービー風の作品を作ろう」というアイディアを弟と話していて、全く別の話だったのですが。結果的に、元々他の形でやろうとしていた「ビートルズマニアのコメディ」というのが、今回の形になりました。むしろ今回の映画の成り立ちは、「ゴール」が最初にありました。
その「ゴール」も、実は「作り」なんですよ。「リアル」じゃないんです。「ドキュメンタリーを適当につなげているだけだろう」ということをおっしゃる方もいるんですが、ちゃんと僕は「作って」います。そんなご批判をいただけるほど「リアル」なものができたんだな、ということで喜んでおります。
 
Q:今村さんを主演に選んだ理由は?
 
渡辺紘文監督:今村 樂くんっていうのが、本当に僕の幼い頃からの友人なのですが、非常に心の優しい誠実な男なんですね。観てない方もいらっしゃるかもしれませんが、前作の『プールサイドマン』という映画は、「日常の中にある狂気が人間を壊してしまう」という話だったのですが、実際の今村くんとは対極にあるキャラクターを演じてもらったほうが、そういう効果がでると思って、彼をキャスティングしました。それで、今回の『地球はお祭り騒ぎ』というのは、『プールサイドマン』とは逆で。人間の何気ない生活の中に、「幸福」だとか「大切なもの」があるんじゃないか、というようなことを、自分なりに捉えてみたいと思って作った作品です。ですので、むしろ彼のような誠実な男にまた演じてもらいたいと思ったのが、そもそもキャスティングのきっかけになっております。
 
今村 樂さん:また映画に参加させていただけるっていうだけで、本当に嬉しくて。脚本を読んでも、今回は割と自分に近くて、本当に素直にできた感覚です。
 
Q:前作が暗で、今作が明というのは意図されていたのでしょうか?
 
渡辺紘文監督:そうですね。いくつか作りたい作品があって、『プールサイドマン』に続くような、ある種ヘビーな物語も構想の中にはあったのですが。どちらかというと『プールサイドマン』で、僕のそういう映画を作る体力が、ちょっと尽きてしまった部分がありました。別のものを撮りたい、という気持ちがあったというのが、正直なところです。今まで、僕たちはこういうテイストの作品を撮ったことがなかったので。以前にもお話したことでもあるのですが、自分の弟がピアノ教室を地元でやっていまして、彼のピアノ教室の子供やその親御さんに、「渡辺さんの映画は、子供が観ることはできませんね」ということを言われまして。「確かに、子供さんに大きな顔をして観せられるもんじゃないな」というのがありまして。一度、そういう誰でも観られるような映画を作ることに挑戦してみようと思ったのも、大きなきっかけです。
 
Q:ジャームッシュ監督の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』にタイミングやペースがすごく似ている気がしましたが、監督はどういったペース配分をなさるのでしょうか?
 
渡辺紘文監督:ジム・ジャームッシュ監督、アキ・カウリスマキ監督、ケビン・スミス監督の映画などと比較されることもあるのですが、そもそも僕たちが作っているのは低予算の自主映画なので、ジム・ジャームッシュ監督の初期の作品に影響を受けています。ただ、前作くらいから、自分なりの表現や呼吸が見つかってきたので、最近は自分の表現だけで映画を作ろうとしています。それが、僕たちの映画の作り方の大きな部分だと思っています。
 
Q:TIFFにパルム・ドッグ賞があればあげたいなと思うほど、ワンちゃんが気になったのですが、あれがリンゴちゃんでしょうか?
 
渡辺紘文監督:リンゴというのは、まさにワンちゃんです。余談ですが、リンゴは僕のことがすごく嫌いで、すごく仲が悪かったです。
 
Q:今村さんは、前作に続いてずっと喋らない役で、似たような設定だけれど、違う人を演じるにあたって、どういうことを意識されましたか?
 
今村 樂さん:はい、役の違いを出すのは、『プールサイドマン』の時は主人公と同じような生活を自分でもやってみました。今回は、自分に近かったので、少しずつ心を開いていくような感覚で、僕も人見知りなので、それを少しずつ演じる中で整理していきました。
 
Q:音楽について
 
渡辺雄司さん:今回はミニマルということで、同じテーマで曲を何パターンか書きました。難しいなと思うのは、先ほど兄にも言われたことですが、音楽はあくまでも映画のテーマを助ける…というのとは、ちょっと違うかもしれませんが、支えるような部分がありますので。音楽だけでは何も説明できませんし、音楽は映画を見ている人の考えを支えるものだと僕は思っています。音楽を書いて答えは無いといつも考えています。だから、この映画の音楽に関しては、僕は優しい気持ちで書きましたけど、作品を観た方がどう解釈するかは、人によって全然違うと思います。僕が考えるこの映画の答えは出ているのですが、それを教えることは多分ありません。
 
Q:監督のこれからはどこに向かっていくのでしょうか?
 
渡辺紘文監督:そうですね。常に構想は弟と一緒に話して、何を作るべきかを考えてはいます。今の段階ではまだ次回作について見えていない状態です。東京国際映画祭という場所が、僕には本当に特別な場所で。『そして泥船はゆく』という映画でこの場所でデビューして、『七日』というちょっと実験的な映画、前作の『プールサイドマン』、今作の『地球はお祭り騒ぎ』と、すべての作品を出品させていただいているということで、東京国際映画祭に来ているお客様や、スタッフ、ボランティア、学生の皆さんに支えられてここまで来たと思っているので、また成長した姿でこの場所に帰って来られたらいいなと思っています。ただ、プログラミング・ディレクターの矢田部さんにもういいだろう、という風に思われる可能性が高いと思うので(笑)、本当に皆さんを納得させられるような、さらに面白い映画を作るために今後も頑張っていきたいと思います。

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