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2017.11.21 [イベントレポート]
「詩人や芸術家には、ひとつの宿命があると思います。それは悲しみを表現するということです」10/31(火):Q&A『詩人の恋』

詩人の恋

©2017 TIFF

 
10/31(火)、ワールド・フォーカス『詩人の恋』の上映後、キム・ヤンヒ監督をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
キム・ヤンヒ監督:私は10年前に卒業作品として短編映画を撮り、それがアジアフォーカス福岡映画祭に招聘されたことがありました。それから10年後に、長編映画を撮って、また日本に来ることができてとても嬉しく思っています。私は日本の文学や映画がとても好きですので、なおさら嬉しく思っています。
 
Q:『詩人の恋』は監督にとって初めての長編作品ですね。韓国でも今年(2017年)9月に公開されていますが、なぜ今回長編映画に取り組もうと思ったのか、そして、どうしてこのテーマにしようと思ったのか教えてください。
 
キム・ヤンヒ監督:短編を撮ってから、この長編にたどり着くまで10年かかったのですが、その間、早く長編映画を撮ってデビューしたいと思っていました。でも、良いシナリオがなかなか浮かばなかったり、提案もなかったりと、辛い時間も過ごしていました。その間、スタッフとして、シナリオ作家として仕事をしていたのですが、やがて、今回の映画にも出てくる韓国で一番大きな島の済州島に移り住むことにしました。ソウル生まれですが、映画を半ば諦めよう、というそんな思いで、済州島に行ったわけです。そこで、偶然お会いした詩人の方からインスピレーションを得ました。済州島に住んでから6年目ぐらいになりますが、そうしたインスピレーションをもとに、人間について、自然についていろいろなことを考えるようになり、キャラクターも頭の中にいろいろと浮かんできたので、自然と今回の長編を作ることになりました。
 
Q:悲しみが力になるということ、その理由はなんでしょうか?
 
キム・ヤンヒ監督:今のご質問は、詩人とは何かというくだりで、「詩人とは世界で一番悲しく、つらい人たちの代わりに泣いてあげること」を表しているシーンに関連していることですよね。私自身、詩を作る人や何かを作る人たちの価値についてわからず、映画にもどのような価値があるかということを常に考えながら、きっと何らかの価値があるだろうと信じて作っています。そうした気持ちを正直に映画の中に盛り込んで映画を作れば、必ずそれを読み取ってくれる方がいると信じています。私にとって済州島に住んでいた時期が、今も住んでいますが、人生において一番寂しく、とても心細い時期でした。そういう中で、また映画を作りたい、何かを作りたい、そんな気持ちもずっと持ち続けていました。詩人や芸術家には、ひとつの宿命があると思います。それは悲しみを表現するということです。ですから、私もその宿命を受け入れていきたいと考えています。
 
Q:映画の中の詩は、監督がお作りになったものなんでしょうか?
 
キム・ヤンヒ監督:最初に出てくる詩は、私が済州島でお会いした、この映画のモデルになっている詩人の詩です。途中に出てくる詩は、何かいい詩がないかと探して見つけようと思ったのですが、なかなか適当なものが見つからなかったので、私が書いたものも含まれています。中でも、小学校で詠んでいる詩などは私が書きました。そして、少年を恋しがる詩は、現在韓国で非常に有名な詩人キム・ソヨンさんのものです。
 
Q:ヤン・イクチュンさんを主演に起用された理由は?
 
キム・ヤンヒ監督:この詩人のキャラクターそのものがハンサムなキャラクターというよりも、普通の家庭にいそうなイメージのキャラクターです。韓国では、ヤン・イクチュンさんは『息もできない』という映画にも見られるように、非常に強いキャラクターを持った俳優さんです。映画学校に通っている頃からヤン・イクチュンさんを知っています。
ヤン・イクチュンさんはとても照れ屋で、好きな人の前では話すことさえできないような、そんな一面を持っていた方でした。ですから、むしろ『息もできない』を観て驚きました。『息もできない』を撮る前のヤン・イクチュンさんの姿を知っていたので、今回こうしたキャラクターが叶ったのだと思います。こういう姿を持っているという発想ができたからですね。
実際のヤン・イクチュンさんは繊細な方で、ちょっとおばさんっぽいようなところがあります。料理上手だったり、ごみの分別が得意だったり、そんな一面があります。
ヤン・イクチュンさんはこの映画を撮る前に『あゝ荒野』という映画でボクサーの役をされていましたので、元々の体重よりも10キロぐらい減量されていました。去年日本で撮影しているヤン・イクチュンさんを日本に尋ねたとき、私の映画のこのキャラクターをオファーしました。また10キロ増やしてくださいとお願いし、太ることは大変なことですが、7キロか8キロぐらい太ってくださって、すごいと思いました。
 
Q:日本の文学ではどのような文学が好きですか?
 
キム・ヤンヒ監督:20代のころは村上春樹さんの作品をよく読んでいて、日本文学が好きになって、夏目漱石、太宰治の作品も読みました。30代になってもたくさん読みまして、今でも読んでいます。今回東京国際映画祭に出席する前に鎌倉あたりを旅行してから東京に来ました。鎌倉にある文学館に行き、夏目漱石や川端康成の遺筆も見てきました。
 
Q:今後の映画活動の予定を教えてください。
 
キム・ヤンヒ監督:済州島で映画を作るのは本当にいい機会だと思っています。そして済州島で撮ってみたいという話がもう一つあるので、それをシナリオにして撮りたいと思っています。とても健康的で生活力のある女性が主人公となる作品を撮りたいと思っています。

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