10/27(金)、アジアの未来『ポーカーの果てに』の上映後、マイケル・オンデル監督、俳優のケナン・エジェさん、エルシン・ギョク撮影監督、ジョゼフ・エルチェヴィキ・アマド プロデューサーをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
ミヒャエル・オンデル監督:本日はお越しいただいてありがとうございます。実はこの映画はこの東京国際映画祭での上映が初めての公開です。本日来ていただいた東京のみなさんにはお礼申し上げます。また東京のような美しい街に招いていただいたことにも感謝したいと思います。
ケナン・エジェさん:日本に来るのは私にとって2回目となります。日本という素晴らしい国に戻ってくることができて大変うれしいです。皆様が本作の上映を楽しんでいただけたことを願っています。
エルシン・ギョクさん:皆さんどうもありがとうございます。本日はようこそいらっしゃいました。
ジョゼフ・エルチェヴィキ・アマドさん:私も多くの方に来ていただき感謝しています。またオンデル監督にもこうした素晴らしい作品を作っていただいたことに改めてお礼を申し上げます。
Q:本作が監督にとって長編デビュー作とのことですが、アイデアはどのようなところから生まれたのでしょうか?
ミヒャエル・オンデル監督:2013年にとある小規模なデモに参加したことがありました。作中にあるような小さな部屋に何人かで集まって話をするのですが、そのとき私は本当に参加すべきだったのか、何をここですべきなんだろう、といったことが頭から離れずドキドキしながら時間を過ごしていました。するといろいろ議論をしていた最中、一緒に参加していた友人が突然プレイステーションでサッカーゲームをしようと言い出したのです。そのときは唐突な提案に「は?」と思ったのですが、それから3~4か月が経ってその時のことを思い出していたときに、非常に緊張感のある中で友人が突然思いもよらぬ提案を投げかけたその場面がヒントになって、本作のアイデアが湧き出てきました。
Q:監督はどのような問題意識をもってこうした展開にされたのでしょうか?
ミヒャエル・オンデル監督:現実に、あるグループが例えば「自分たちはリベラルだ」のような自分たちの思いを持ちながら行動していたとしても、作中のように何かある出来事や情報をきっかけに、まったく別の一面が表に出てきてしまう。こうした現象は、トルコ以外にも起こりうることなのではないかと思っています。
Q:日本人とトルコ人が、同じようなポイントで笑っていたのですが、観客の反応はいかがでしたか?
ミヒャエル・オンデル監督:日本語の字幕はもしかしたらトルコ語のこの映画のよりも少し面白く描かれているのかなと思ったりもしました(笑)。
やっぱり笑いのポイントが一緒でよかったです。実は来る前はどうなるかなと心配でしたが、今回東京に来る前に、数人の監督から「東京国際映画祭は大丈夫だよ、観客がものすごく良い反応を見せてくれるよ」と言われていました。実際にその通りだなと、今思っています。
Q:自宅の中のポスターや絵画には意味があるのか教えてください
ミヒャエル・オンデル監督:意図的にいろいろと考えて最初から背景として置いていました。たとえばその後の展開を暗示していたり、全部計算していろいろなものを背景にしています。
Q:比較的デモに対してもシリアスに捉えていない、楽しくポーカーゲームをしたり、それはトルコの方たちが元々持っている性格なのでしょうか?
ミヒャエル・オンデル監督:これはどちらかといえば、私が個人的に思ったというのでしょうか、私の受け止め方であると言っていいと思います。もちろんトルコ人もこういうデモというものをシリアスに受け止める人たちも多いですけど、私はこれがすごくユーモアがあるというか面白いという一面を感じています。当然ながらだんだんとこういうデモが多くなると、それでやはりいろいろなものが二極化していったり、いろいろなムーブメントの象徴になっていったりしてしまうからこそ、シリアスに受け止める方たちもいれば、私のようにユーモアを感じて、映画を作る者もいるのです。
Q:ケナン・エジェさんにお伺いしたいのですが、この作品のセリフは脚本に書いてありましたか?それとも現場で作りましたか?
ケナン・エジェさん:監督が脚本も担当していて、とてもよく書かれています。セリフについても各キャラクターの人物像をものすごく細かく描いてくれていたので非常に助かりました。この作品のリハーサルは4・5ヵ月かけてしているのですが、シーンよってはセリフが難しいところがあったりしたのですけど、役者同士でプライベートでもポーカーをして自然体で話せるようになっていきました。セットでの撮影ということで、難しいところもありましたが、自分なりの思いを入れることによって、すんなりセリフを言うことができたのかなと思います。通常は台本に近い形での進行でした。
司会:最後に一言ずつメッセージをいただければと思います。
ジョゼフ・エルチェヴィキ・アマドさん:私が送りたいメッセージはご覧になっていただいた映画そのものがそうだと思いますし、皆さんの笑い声を聞かせていただいて、ちゃんと伝わっているのだなというのを非常に強く思いました。やはり、映画というのは素晴らしいコミュニケーションをする、いろいろなことを伝える手段として、映画というのは魔法のような役割があるのだなと思いましたし、本当に皆さんとこの時間を共有できたことを嬉しく思いました。
エルシン・ギョクさん:来ていただいて、この映画を観ていただいたことに感謝申し上げます。
ケナン・エジェさん:みなさんとこの時間を共有できたことを嬉しく思います。そして何よりも、ユーモアのセンスがしっかり伝わったのだなということが非常に嬉しいです。やはり、トルコではない全く違う国で上映されるということで、どこまで我々の思いだったり、ユーモアのセンスが伝わるかと思っておりましたが、そういう普遍的な部分というものはちゃんと伝わるものなのだなと改めて思いました。本当にありがとうございました。
ミヒャエル・オンデル監督:『ロード・オブ・ザ・リング』みたいな感じになってきましたが、私にとって特別な体験をさせていただいた、皆さんに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。