第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたフランス映画『スパーリング・パートナー』が11月2日に上映され、サミュエル・ジュイ監督、俳優のマチュー・カソビッツ、ソレイマヌ・ムバイエが記者会見を行った。
盛りを過ぎたドサ廻りの2流プロボクサーが、家族のために欧州チャンピオンの練習相手に立候補する。「アメリ」のマチュー・カソビッツが顔面を腫らすほどの本格的な役作りで、敗者の美学を貫く男を演じる。
ジュイ監督のデビュー作。「私自身、ボクシングが好きで、父親でもある。何かを失った時に、子どもに何を伝えられるかを描きたかったのです。今の西洋社会は、社会的失敗か成功でレッテルを貼られる、勝ち組、負け組ではなく、パッションを持って仕事を続けること、人生は勝ち負けではないということを伝えたいのです」と、作品に込めたメッセージを語る。
カソビッツも本格的にボクシングに入れ込み、6月にアマチュアでリングデビューを果たしている。「ただただトレーニングすること。良くなければ、良くなるまでやる。頑張ること、ただそれだけです」とハードな役作りについて振り返る。
ボクサー、エンバレクを演じるムバイエは第32代WBA世界スーパーライト級王者。「チャンピオンも描いている作品で、自分の経験が生かせた。スパーリング・パートナーは試合の練習相手ではあり、自信を与えてくれる人。本当の意味での現実を描いている」と、映画のリアリティに太鼓判を押した。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。