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2017.11.01 [イベントレポート]
「作品名からは先の読めない雰囲気こそが、この映画の驚きに相通じる」10/28(土):Q&A『ポップ・アイ』

10/28『ポップ・アイ』Q&A

©2017 TIFF
10/27のQ&Aに登壇したカーステン・タン監督とタネート・ワラークンヌクロさん

 
10/28(土)、国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #04 ネクスト! 東南アジア『ポップ・アイ』の上映後、カーステン・タン監督、主演のタネート・ワラークンヌクロさんをお迎えし、Q&Aが行われました。⇒作品詳細
 
カーステン・タン監督:皆さん、本日は、この東南アジアの小さな作品、そして大きな動物が主演の『ポップ・アイ』を観に来てくれてありがとうございます。
 
タネート・ワラークンヌクロさん:タイから来ました。コンニチハ! “タネさん”と、私のことを呼んでくださいね。(場内笑い)
 
Q:タイトルは何故『ポップ・アイ』になったのですか?
 
カーステン・タン監督:実は当初、主役の象の名前でもある「ポパイ(Popeye)」で映画の企画段階から進めてきました。しかし、公開直前になってプロデューサーと「もし、ご本家に訴えられたら、どうしよう…」と相談して、「Popeye」ではなく、間にスペースを入れ、”eye””を”Aye”に変えて「Pop Aye」にしたという経緯があります。結果、視覚的に違うものになって気に入っています。タイトルから受ける、ちょっと先の読めない雰囲気、それがこの映画の驚きとかに相通ずると感じたからです。
 
Q:今年、東京国際映画祭は30回記念なのですが、ターネットさんは俳優業30年の記念ということでこの映画にご出演になったという話を聞きましたが?
 
タネート・ワラークンヌクロさん:東京国際映画祭が始まったちょうどその頃、一度演技を辞めて休止状態に入っていました。今回、東京国際映画祭の30回のお祝いと同時に私の演技のキャリアの再復活を祝っていただくきっかけになりました。ありがとうございます。
 
Q:お二人はどこでどう知り合ったのですか?
 
カーステン・タン監督:実はこの作品の主役をずっと探していました。何も恐れずにこの役に果敢に取り組んでくださる方、そして大事な点は、象が一緒にいても怖くない人を探していたので、決定するまでに非常に難航しました。プロダクション制作に入らなければならないギリギリのところで、(今年の「アジアの未来」部門で出品されている『現れた男』の)プラープダー・ユン監督にすがるような形で、誰か推薦してくれないかと相談したところ、「タネートさんという面白い、音楽もやっているすごくいい人がいるよ」と紹介してくださいました。プラープダー・ユン監督はタネートさんとは個人的な知り合いではなく、思い付きで名前を挙げたのですが、私としては焦っていたので、プロデューサーを通して、タネートさんに連絡をつけて脚本を読んでもらい、急遽、オーディションにも来てもらった状態でしたが、演技を見て「この人しかいない!」と思いました。
 
Q:役者としては長いブランクがある中で、この映画に出ようと思われた決め手は何だったのですか?
 
タネート・ワラークンヌクロさん:ずばり、脚本が素晴らしかったことと、監督や他のクルーがこの映画を作るというすごく強い想いを持っていて、そういう作品ならばぜひ参加したいという気持ちになりました。
 
Q:監督は若い女性ですが、なぜ男性の“中年の危機”つまり“ミッドライフ・クライシス”を題材にした映画を撮ろうと思ったのでしょうか?また、タネートさんは非常に若々しくいらっしゃいますが映画に出演するのに肉体改造などを行ったのですか?
 
タネート・ワラークンヌクロさん:最初に「10キロ体重増やしなさい」と言われました。やりましたよ!(笑) 僕はほんの若僧ですからね、タン監督から人生を学びました。だから若々しいんですよ(笑)
 
カーステン・タン監督:彼がハンサムで恰好良すぎたので、“中年の危機”の悲惨な雰囲気を出すために「じゃあ先ずは10キロ増やして」と提案しました。撮影中も食後にデザートとしてアイスクリームを食べていて「君の映画のために食べているんだよ」って言うんですよ。(場内笑い)
 
タネート・ワラークンヌクロさん:なんの気兼ねもなく堂々と食べることができて、幸せな瞬間でした。
 
カーステン・タン監督:私は自分で映画を撮る、脚本を書く、というときは自分の性別がどうのよりも人間の存在理由、時間というものを扱いたいという気持ちがありました。だから今回、年長者を主人公にしました。女性にするということも考えましたが、タイでは女性は象使いになれないんです。だからこそ、主人公を敢えて女性にするということも考えましたが、女性として象使いになることへの葛藤がテーマの、ありがちなジェンダーのチャレンジ映画にはしたくなかったのです。私が女性だからどうのという制限もしたくないというのがあったので、人間性というものを追求してみたいと思いました。
 
Q:タネートさんにお伺いしたいですが、再び俳優をしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?それとブランク期間はどのようなことをされていたのでしょうか?
 
タネート・ワラークンヌクロさん:実は、音楽の道に入る前には舞台俳優やDJをしていました。俳優活動を休止していたときもロックバンドをプロデュースしたりしていました。いま息子は15歳になりましたが、それまではずっと子育ても忙しくしていました。この作品のおかげで、私が俳優にカムバックしたという噂が広まり、『頭脳ゲーム(原題:Chalard Games Goeng/英語題:Bad Genius)』の脚本をいただいたり、シンガポールのテレビシリーズにもキャスティングされて、いまはちょうどそれを撮り終わったところです。映画祭に参加させていただいているのは監督のおかげです。いろいろありましたが「人生ありがとう」と言いたいです。
 
Q:監督は、なぜこの映画が世界中で受け入れられるのだと思いますか?映画とともに世界中をまわって一番嬉しいことがあれば教えてください。
 
カーステン・タン監督:それは私が映画に対してとても正直に向きあったということ、人間性を描いたことだと思います。自分に関わることだけではなくてある意味、人類に関する、時間を捉えた過去、そういったものを念頭に置いて描いたことで、皆さんが受け入れてくださったのだと思います。まさにそれが映画の持つ力だと思います。もしかしたら、私はここにいる方と言葉の問題でコミュニケーションはできないかもしれない。けれども、心は同じ人間ですよね。私達には良いこともあるし悪いこともあります。何があっても人生を受け入れなければならない。そして死を迎える。それは、誰にでも共通することだと思います。そういった意味で、映画の力によるのではないかなと思います。
どこにいってもその国々の素敵なところがありますが、日本のお客様は、他と比べたらシャイですが、非常に真摯に映画を受け止めてくださっているなと思いました。
前回の上映後も温かい、やさしさのある言葉をいただきました。上映後に象に似せた手作りのおもちゃをいただくなど、楽しい経験をさせていただきました。

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