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2017.10.30 [イベントレポート]
74分全編ワンカットの意欲作『アイスと雨音』 松居大悟監督「舞台中止の怒りを映画にした」
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   第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で、『アイスと雨音』が10月29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズでワールドプレミア上映され、松居大悟監督、出演の新進女優・森田想、田中怜子、紅甘が舞台挨拶を行った。

 同映画は突然、上演中止となった舞台をめぐり、“現実と虚構”、“映画と演劇”の狭間でもがく若い男女の1カ月を、74分ワンカットで描いた青春譚。昨年、蒼井優主演の「アズミ・ハルコは行方不明」でコンペティション部門に参加した松居監督は「東京国際映画祭は自分にとって、特別な場所です。ここで初上映できることがうれしい」と挨拶。この日は台風22号が接近し、大荒れの空模様となったが「『アイスと雨音』にとっては幸先がいい?」と聞かれると、「そうですね。天気はこの映画のせいかもしれない」と笑う。

 全編74分という意欲的な試みについては「やろうとしていた舞台が中止になった事実があって、いままで味わったことがないくらいの怒りがあったんです。関わってくれた人の気持ちはなくせない。舞台は中止になったので、この映画では途中で切ってはいけない、カットをかけたくなかったんです」と明かした。

 いわば、舞台のリベンジだが、映画化にあたっては舞台のキャストをいったん白紙にして、オーデションで選んだ。そんな中、舞台に続き「この人しかない」と決まった主演の森田は「ここは小さい頃から、通っていた映画館です。そこに、こんなにたくさんのお客さんが来てくださった。現実なのかな?と思います。同世代、先輩とともにどうやって生き切るか。すべて出し切ったので、みなさんの心に届いて、震えてくれたら」と話した。

 大阪出身で演技未経験ながら、「ピュアな部分がこの映画にとって一番大事」(松居監督)と選ばれたのは田中怜子。この日も大阪から駆けつけ、挨拶の途中から髪が雨に濡れたまま参加。「何も知らないまま東京にきてしまい、教えてもらいながら、出し切った74分です」と緊張した面持ちだった。

 舞台版にもキャスティングされていた紅甘は「撮っている時は映画という気がしなかったので、不思議な気持ちです。怜子の大阪訛が出るところがすごい好きです。『私の気持ちは変わんない』という部分。注目してください」とアピールしていた。映画は来年3月、公開予定。
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2018.04.06 [更新/お知らせ]
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