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2017.10.29 [イベントレポート]
「映画というのは、やればやるほど得体が知れない」10/26(木):Q&A『ひかりの歌』

ひかりの歌

©2017 TIFF
上映前舞台挨拶登壇時の杉田協士監督

 
10/26(木)、日本映画スプラッシュ『ひかりの歌』の上映後、杉田協士監督をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細(次回上映10/31・10:30~)
 
Q:4首の歌が出発点になった作品ですが、短歌を募集し、コンテストを行われたそうですね。それが、映画化を前提としたものだったのかどうか、その成り立ちをお話ください。
 
杉田協士監督:今まで現場で知り合った素敵な俳優たちがたくさんいらっしゃるのですが、中には事務所に属さずに、フリーランスでやっていらっしゃる方も多いのです。売り込みを含めて1人でやっていくのは大変なところもあって、2年半ぐらい前に、試しに4人ぐらいの方をサポートするサイトを作って、そこにプロフィールを載せて、問い合わせをすれば仕事のやり取りができるようにと、今回の映画の主演の4つのサイトを作ってみたのですが、ネット検索では最後のページに出てきてしまって意味がありませんでした。そういう話を、6年前の東京国際映画祭に参加したときに出演していただいた歌人の枡野浩一さんと夕食をご一緒した際に、どうすればいいかという悩みを少し話したのです。そうしたら、ツイッターで短歌を募集することにして、短歌をツイッターでつぶやくときにはサイトのURLを必ず貼るようにというルールにすれば、自動的にリンクからサイトに飛び、サイトの信頼度が上がり上位に行くのではないかと。枡野浩一さんはコンテストの審査などを好まない方なのですが、選者として審査を私と一緒にやってくださるとおっしゃって、ありがたいと思っていたら、1200首ぐらい集まり、あっという間に検索のトップに躍り出ました。そんな数の短歌が応募され、そこに込められたエネルギーはすごいものだと思いました。そのコンテストをやる前から、何かお返しをできるとしたら、私は何も持っていないので、短歌を4つ選んで、1首につき1人の主人公で1本ずつ映画を作れば、映画でお返しできるし、同時に4人の俳優の売り込みにもなると思ってやってみたら、すごく大変なことになりました。
 
Q:その大変なことというのは?
 
杉田協士監督:選ぶというのも大変ですが、最後までどれが選ばれるがわからなくて、選ぶという作業は、誰が選ぶかということもそうですし、今、こうしてお話していく中でも、事前に何を話すか決めていなくて、コンディションなどで自分でも思いもよらないことを話始めたりしますよね。そういう感じで、選ぶ時も、最後まで何が選ばれるかわからなくて、気がどんどん引き締まっていくようでした。
そこから選ばせていただいた短歌は、毎日見る、読むたびに、どんどん動いていく。決まった31文字で動かないはずなのに、じっくり見れば見るほど、受け止めるものが変わっていくので、とにかく短歌を見つめました。出演してくださる方を先に決めていて、その方たちと普段接する中で受け取っているものがあるのと、そこからなんとなくピンとくるものがあり、次に場所を決めました。4作品全部共通しているのが、出演者も場所も全部決まってから脚本を書くということです。脚本がない状態でロケ交渉するということをやりました。例えば定食屋さんは、たまたま入ったお店で、何て素敵なお店だろうと思い、何回か通って話をするうちに仲良くなって、出演していただくまでになりました。
 
Q:4つの話は結果的に統一感がありますが、4つの話はひとつずつ作られたのですか?
 
杉田協士監督:1編ずつです。1編に集中して終わると、「これもう1回できるのかなぁ」となるのです(笑)。1本作ると、「映画を作るって、なんて大変なんだ」(笑)と思って。消耗しますし。もし、ここに映画を作る方がいらっしゃったらおわかりになると思うのですけど、落ち込む一方になる時期もあったりして、「俺、果たして誰?えっ?」って。自分が責任を持って面白いと思ってやっているのですけれど、いろいろな人の助けを借りていることもあるので、落ち込むこともあり、「これ、どうにもならなかったらどうしようかな」とか。ですから、一個一個の間が空いています。
 
Q:必ずしも全て最初から計算されたというものではなかったということですね。
 
杉田協士監督:そうです。フェリーに二章の今日子が登場しているのは、三章を先に撮っているからです。全部作り方は少しずつ違うのですが、三章だけはほとんど脚本がない状態で、大洗港から苫小牧行のフェリーにみんなで乗ろうと。そこから始めたのですが、出番に関係なく、今日子役の伊東茄那さんが、「面白そうだから一緒に行きたい」となりまして。せっかく一緒に行くなら出てもらおうということになって。その1年後の夏に、今日子が主人公の物語を撮る時に、逆から繋がることになりました。
(映画作りには)自分でも把握できていないことがいっぱいあって。観るのが大変な作品だなと思われた方もいると思うのですが。例えば、映画を作るセンスとか、技術とか、私の演出力とかというのは、この映画の何パーセントくらいなのだろうかと。これに限らず、作られる映画は何でできているのかというのは、やればやるほど得体が知れないというか。そう言うと簡単になってしまうから難しいですけれど。
 
Q:今後について考えていらっしゃることがありましたら教えていただけますか?
 
杉田協士監督:この映画は完全に自主映画で、東京国際映画祭が終わった後、何も決まっていないので、この映画をしばらく時間をかけて広めたいです。短歌はネット上で全国各地から応募くださったので、映画館でなくてもいいので、できるだけ回れればいいなと思っています。
物作りに関しては、これ、誤解されるかもしれないですけど、そんなにその欲がないんです。映画を作るという行為と、普段の生活、仕事でやっている行為との差があまりないので、何かのふとしたタイミングが来るとそれが映画を作るという形にたまたまなるという感じです。それが来たら作る、声をかけられたらすぐやると(笑)。

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