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2017.10.29 [イベントレポート]
英歌手ジョージ・マイケルさんの“遺作映画”が日本初上映!深夜にファン100人結集
ジョージ・マイケル

eiga.com

 2016年12月25日に53歳で急逝した英シンガーソングライター、ジョージ・マイケルさんの遺作となったドキュメンタリー映画「ジョージ・マイケル:フリーダム」が10月28日、第30回東京国際映画祭内の「ミッドナイト・フィルム・フェス!」で日本初上映された。午後11時45分からの上映にも関わらず、TOHOシネマズ六本木ヒルズには熱心なファンによる長蛇の列が形成。開場と同時に、約100人の観客が座席を埋め尽くした。

 ポップデュオ「ワム!」で「ラスト・クリスマス」など数々のヒットを飛ばし、ソロシンガーとしても1988年度の米グラミー賞を獲得するなど、世界的成功を収めたマイケルさん。輝かしい栄光を手にした一方で、そのキャリアは、栄光に比例し濃くなっていく闇との戦いでもあった。個人の限界を超える重圧、レコード会社との激しい衝突、恋人アンセルモ・フェリッパの死、同性愛者に対する偏見との闘争……。死の直前に完成した今作は、自身の独白や初公開となるオフショット映像、スティービー・ワンダーら有名アーティストのインタビュー、そして名曲の数々にのせ、マイケルさんの内面をたどる旅に出る。

 観客の多くは、マイケルさんの楽曲とともに人生を過ごしてきた“直撃世代”。「フェイス」など自身の思い出の楽曲が流れるや、パッと華やいだ表情を浮かべ、うっとりとスクリーンを見つめる。「ワム!」時代の懐かしのPVや、公私ともに縁の深かったコメディ俳優リッキー・ジャーベイスの辛口ジョークには、大きな笑い声が漏れた。対して「ゼイ・ウォント・ゴー・ウェン・アイ・ゴー」など感情的かつ強靭なメッセージを備えた楽曲に、マイケルさんが胸中を吐露する声がかぶると、顔を覆い涙を拭う観客の姿が多く見受けられた。

 初回の終映は、日付変わって29日の深夜1時30分ごろ。上映前に待機列の先頭に並んでいた上野在住の男性は、「ジョージ・マイケルは僕の“人生”。音楽とともに生きてきた」としたうえで、鑑賞後の感想を「僕らには計り知れない孤独や葛藤があった。劇中でジョージも言っていましたが、今は細分化し、アーティストが多すぎる。彼やプリンス、マドンナのようなポップスターは、もう出てこないのかなとも思った。そして、自分の信念を貫いて生きることは、ポップスターではなくとも、1人の人間として大切だと感じた」と余韻に浸りながら明かした。

 上映は深夜から早朝にかけて3度行われたが、日本での劇場公開は未定なだけに、“ジョージ・マイケル・フリーク”を自負する杉並区在住の男性は「3回見て、3回泣きます」と話す。この日のために広島から来たという女性は、「大きいスクリーンで見られて、遠くから来た甲斐がありました。地方でも上映してもらえたら、すごく宣伝します!」と笑顔を見せた。

 渋谷区の女性は「『お金を払ってでも見たい』という友だちがたくさんいたんですが、台風もあって来られない人もたくさんいました。ぜひパッケージでも出してほしい」とリクエスト。東京都在住の20代女性は「亡くなったあたりの話もたくさん出てきましたね」といい、「ジョージの自由な精神を改めて感じられるドキュメンタリーでした。若い人にも、知らない人にも見てほしい」と語った。さらに千葉在住の女性は、「もしジョージが生きていたら、言いたいことは山ほどあります。2日かけても足りないくらい!」と、ファンゆえの熱い思いを告白していた。

 第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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