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2017.10.29 [イベントレポート]
「現実を描いたこの映画を観て問題に気付き、それが平和的な解決に繋がればいい」10/26(木):Q&A『殺人の権利』

殺人の権利

©2017 TIFF
オープニングイベント・レッドカーペットに登壇したアーネル・“アルビ”・バルバローナ監督とエセル・メンデスさん

 
10/26(木)、アジアの未来『殺人の権利』の上映後、アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細 (次回上映10/30・10:50~)
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:皆さん、今日は私の映画を観ていただいて、感謝申し上げます。皆さんの声を自分の地元ミンダナオに持って帰れることを、非常に嬉しく思っております。
 
Q:この映画ですけれども、実際にこのような事件があって、映画を着想されたということでしょうか?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:当初、自分の民族についてのドキュメンタリーというから着想しました。今回の映画の中に、実際のキャラクターとして出てきた女性の目から見たストーリーを語っていきたいと思い、映画を作っていきました。
 
Q:昔の話かなと思ったら、2014年とのことで驚きました。政府軍の描き方に圧力はないのでしょうか?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:これは2014年に実際に起きた話です。こういう形でハラスメントが、特に原住民に対して行われています。かなり卑下された形で彼らが扱われていることは事実であって、ミンダナオについて、内戦は相変わらず行われているということです。最後にご質問いただいた政府の圧力というのは、今のところはないです。
 
Q:この映画は、マニラで行われているシナグ・マニラ映画祭でグランプリをはじめ賞をいくつもお獲りになっているという意味では、堂々と上映できているということなんですよね。
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:この中にルマゾ族が出てくるんですけれども、彼らも政府に対してハラスメントが行われている、という声を上げることをしていますので、政府は政府として聞かなければいけない、という立場になっているのではないかと思います。
政府としては、基本的な社会保険であったり、社会に対して最低限のものは提供しなければいけないというスタンスではあるんです。けれども、地方に行くと中々そこまで手が届いていない、社会保険も無い状態です。ですので、私がこの映画を作ったのは、私なりにこういうことが実際に行われているんですよ、という批判的な意見を伝えて、平和的な解決に繋がっていければいいなという思いもあって、映画を作りました。
 
Q:NPAいわゆる民族軍と現地の人達との間には、ある程度のシンパシーというか、協力体制があるように見受けられましたが?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:フィリピンでいわゆる共産主義というグループ、またはNPAというのは、映画の中で出てきたような人達や民族とある程度の協力体制を取っているというのはありますね。それと、反政府軍に対して先住民の方というのは、ある程度近い位置にあるとも言えます。しかし一方では、部族同士の争いというものも行われているわけですから、それももう一つの現実なのかな、と思います。
 
Q:映画の中で出てくる部族民に対して先生が色々なことを教えている小さな学校はあるのでしょうか?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:フィリピンもかなり長い歴史をもっています。先程も言いましたように内戦がおこなわれている中で、外から見ると政府がある程度指示を出して、このような学校を建てているのかというふうに思われがちなのですけども、実際はそうではない。非営利団体のような団体が学校を支えて、先住民にも教育をしていかなければいけない、とやっているのが現状かと思います。
 
Q:フィリピン国内で撮影されたのですか?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:そうですね。実際の先住民が住んでいるコミュニティで撮影しました。
 
Q:内戦の地域に接したりはしていないのですか?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:私の住んでいる町から大体バスで3時間ぐらいの所で撮影を行いました。バスを降りてから更に撮影する場所まで歩いていかなければいけないので、それが2・3時間かかりました。そのような背景で撮影が行われました。
 
Q:役者さんは先住民の方々と、軍隊の方はプロの役者さんなのですか?
 
アーネル・“アルビ”・バルバローナ監督:先住民です。娘は、私の実の娘です。軍曹が出てきたと思うのですが、彼は演劇をメインにやっている俳優さんで、私も何回か一緒にお仕事をしております。大佐役の子は新人俳優です。あとの残りの軍隊メンバーは、私の撮影クルーが全員エキストラという形で出ております。

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