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2017.10.28 [イベントレポート]
「私たちフィルムメーカーがこのことを題材にしないなら、他に誰が取り上げるのか」10/26(木):Q&A『アンダーグラウンド』

アンダーグラウンド

© 2017 TIFF

 
10/26(木)、ワールド・フォーカス『アンダーグラウンド』の上映後、ダニエル・R・パラシオ監督ジョエム・バスコンさんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細 (次回上映10/29・10:25~)
 
ダニエル・R・パラシオ監督:皆さん楽しんでいただけたでしょうか。ありがとうございます。
 
ジョエム・バスコンさん:皆さん本当に今日はありがとうございます。楽しんでいただけたらと思います。また、東京国際映画祭にもお礼を申し上げたいと思います。
 
Q:事実に基づく話とありましたが、事実と、そうでない部分はどこでしょうか?
 
ダニエル・R・パラシオ監督:プロデューサーと私はこの映画のことを「ドキュドラマ」と呼んでいます。ドキュメンタリータッチであって生々しさを見せたいという気持ちがありました。私たちの手法としては、できるだけ観客がすぐに世界を感じられるということ、体験をできるようにということで、そういった「ドキュドラマ」の方法を取りました。作品の90%が事実です。ロケも実際の墓地で撮っていますので、プロダクションデザイナーはほとんど仕事がなかったというか、楽だったということです(笑)。病院のシーンは、私の恩師であるブリランテ・メンドーサ監督からも色々とアドバイスもいただきましたが、脚本がないんです。脚本がなく、キャラクターを説明して…。後でジョエムさんからも演出法についてはお話があると思いますが、病院の実際の看護師さんに患者が来た時と同じように扱ってくれと頼んで撮影をしました。彼らは普通にやっている通りに動いてくれました。
 
ジョエム・バスコンさん:とっても大変でした。初めにリハーサル的なミーティングをしました。実在する人物がいるので、私たちも2、3日墓地で一緒に過ごして、実際に体験して自分のものにしていきました。ですから我々はそういうことをして、実際にキャラクターがこういう人物だということを把握した上で、今度は状況を伝え、その状況のなかでどう行動するか…。キャラクターはリサーチしていますので、キャラクターなりの動作をするわけです。メンドーサ監督が考案した「ファウンド・アクティング」というものがあって、脚本がない状態で状況を与えられたことに反応するということで、環境を与えられて演技するということなんです。
 
Q:監督がこの作品を撮ろうと思ったきっかけは?
 
ダニエル・R・パラシオ監督:私は、少数ですけど墓地に暮らしている人たちだけではなく、全てのこの見放された、どちらかというと部外者的な、社会に無視されているというような人たちを取り上げたいと思いました。家族内でもそういうことが起こりうりますし、墓地の人たちという話ではなくて、フィリピンではこういう橋の下で暮らしている、ダンボールの家に住んでいるそういう人たちがたくさんいます。私たちフィルムメーカーがこういう彼らのことを題材にしないと、他に誰が取り上げるのか、という思いで今、取り上げました。
 
Q:この作品はどのくらいの日数をかけて撮られたのでしょうか?
 
ダニエル・R・パラシオ監督:11日間でした。しかし、最初の脚本というのは3時間くらいある長いものでした。
実際、かなりの膨大な量を撮って編集をするわけなのですが、我々が編集をやっているとき、全然休めない、そして眠れない、でもまさにこの映画のテーマが不眠不休みたいなところがあり、取り上げた人々の実際の生活、休むどころかちょっと寝るともう2秒でまた起こされるというそういう状況を我々も経験しました。
 
Q:ジョエム・バスコンさんに、本当に父親らしい情というものが現れていたので、どこからインスピレーションを受けたのか、監督には教会の中での撮影は問題なかったですか、ということをおききしたいです。
 
ジョエム・バスコンさん:私はまだ娘がおりません。要するにまだ父親ではなく独身です。リサーチをしたときに、娘を持つというのはどういうことなのか、父親らしく動く、父親らしく気持ちを持っていくというのはどういう風に持っていけばいいのかというのを色々リサーチしました。
映画撮影中は、本当に自分が父親だと完全に思い込んでいましたので、父親になりきっていたのだと思います。お父さんらしく見えるように映画の時はいっぱい食べて体重を増やしました。
教会については、本当に問題があったかどうかは分からないのですが、ゲリラ撮影という方法をとりましたので、教会の方々は私たちが撮影しているということさえ分かっておらず、あれは本当に自然に皆さんが反応していました。だからこそ、非常に自然体で撮れたと思います。
 
ダニエル・R・パラシオ監督:教会のシーンの話ですが、撮影することは教会の方には知らせておらず、本当に分からないように私たちは撮ってしまいました。でも、この映画を見たら、カトリック教会は少し居心地が悪いような気持になると思いますし、この映画が行動を起こすきっかけになればと思っています。
 
Q:映画に出る“アクションライン”というのはどういった人たちがいるのでしょうか?
 
ダニエル・R・パラシオ監督:実際にあの人たちは国に雇われている公的機関の人たちです。
墓地に住むことは違法なので彼らはああやって襲撃して貴重品や物を奪っていくのです。そうすれば住まなくなっていくのです。
実際に墓地で起きたことなので実際の公共の墓地で撮影しています。お金さえ払えば簡単に許可がおります。
私の映画以外にもローカル映画とホラー映画の全部で3本の撮影で使用されていました。
 
Q:次の映画が決まっていると聞きました。
 
ダニエル・R・パラシオ監督:現在の計画ではフィリピンの中での日本といいますか、戦争の時に日本人がフィリピンに入ってきました。そこでは人が死んだりとネガティブな部分もありましたが、もちろん美しいストーリーもあり、愛情もあるので、私はそこを掘り下げてフィリピンと日本の関係をもっと見出していきたいと思っています。

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