第30回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門に出品された「怪怪怪怪物!」が10月26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで公式上映され、ギデンズ・コー監督と女優のユージェニー・リウが出席した。
2011年の記録的ヒット作「あの頃、君を追いかけた」の原作者=監督として一世を風びしたギデンズ・コーの最新作。いじめられっ子のリン・シューウェイは、いじめっ子3人とともに、教師から独居老人の手伝いをする奉仕活動を命じられ、そこで2匹のモンスターに遭遇する。彼らは小さい方のモンスターを捕まえて、独自の「調査」と「実験」を始めるが、それは恐怖のはじまりだった……。
コー監督は、インターネットで発表する小説の多くが映画、TVドラマ、ゲームに展開される台湾文芸界のカリスマだが、本作はオリジナル脚本による戦慄(せんりつ)の学園ホラー。スクールバスの中での血まみれの殺りく劇など、衝撃的なシーンが満載となっている。
「僕が一番好きなホラー映画は、日本映画の『リング』や『仄暗い水の底から』なんです。特に『リング』を見た時は、あまりにも驚きすぎて、首をひねってしまったくらい」と述懐するコー監督は、「僕の好きないわゆるホラー映画というのはああいう映画のことで。中盤は色彩がなく、わりとあいまいで不確定な要素が語られており、最後の5分くらいで恐怖のクライマックスが訪れるものだと思うんです。そういう観点で言うと、僕の映画はホラー映画ではないと思うんです。だってこんなきれいな女優さんを、人を食べる怪物にしてしまって、しかもそういったシーンを映画の最初の方から大胆に見せてしまっているんですから!」と笑ってみせる。
そんな強烈なモンスター役のオファーを受けた時のことを振り返ったリウは、「監督ってジョークが好きで、いつも言いたいことをすぐに言うタイプの方なんですけど、オフィスでオファーをいただいた時はすごく真面目な顔をされていて、どうにも言いにくそうに口ごもっていたんですよ。監督のああいう姿を見るのは初めてでしたね」と振り返る。
その時のコー監督は「ある役があって。君に演じてほしいんだけど……」と言いながら、なかなか口に出せずにいたというが、「何か言いたいことがあったら遠慮なく言ってください」というリウに促されて、「30分くらいたってから『実は怪物の役なんだ。脚本も君に当て書きしたんだよ』と言われて、1秒くらい口をポカンと開けてしまいました。だからたぶん監督はその時、わたしが怒ってしまったんじゃないかと思ったんじゃないでしょうか。でもわたしの気持ちとしては飛び上がりたいほどにうれしかったんですよ」と笑顔を見せた。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催中。