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2017.10.27 [イベントレポート]
シンガポールの新鋭カーステン・タン監督、長編デビュー作に選んだ題材は“ノラ象” 『ポップ・アイ』
『ポップ・アイ』
©2017 TIFF
 
eiga.com

   第30回東京国際映画祭の国際交流基金による「CROSSCUT ASIA ネクスト!東南アジア」部門で、シンガポール・タイ合作「ポップ・アイ」が10月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、カーステン・タン監督と主演のタネート・ワラークンヌクロがティーチインを行った。

 シンガポール出身のタン監督は、同作で長編デビュー。同国のエリック・クー監督の推薦で選出され、「シンガポールの若い映画作家で、クー監督を知らない人はいない。シンガポールに映画文化をもたらしたパイオニアで、私は彼の会社でCM制作をしていたので個人的にも交流があった」と説明した。

 現在は米ニューヨーク在住だが、「自己形成の時期をタイで過ごし、混とんとした中にも生命力にあふれた特別な場所だった。その時の記憶として鮮烈に残っているのが、都会にいた“ノラ象”だった」という思いを起点に、失意にある建築家が幼い頃に飼っていた象と再会し故郷を目指すストーリーラインを構築。「まず象があって、次にロード―ムービー、そして男性という順番だったけれど、タネートさんに会えてラッキーだった」と感謝した。

 そのタネートは、タイでは往年のロック歌手として知られる存在。もちろん象との共演は初めてで、「小さい頃に子象に襲われかけたことがあったけれど、幸いなことに忘れていた。覚えていたら、この仕事は受けていなかった」と冗談めかした。

 それでも、「像の横で寝るなんて、言葉で表現できないほどに難しかったけれど、監督が限界まで追い込んでくれたので良かった」と笑顔。タン監督も、「いつも一緒にいたので“2人”に化学反応が生まれ、最後にはいい友人になっていた。要求を瞬時に理解できる真のアーティスト。演じていただいて、ありがとう」と賛辞を惜しまなかった。

 そして、「私も映像作家として生きていく中で、振り返って純真さを失ってしまったのではと思うこともある。失ったものも人生の一部であると、一度立ち止まってみようという思いを伝えたかった」と力説。「心を込めた初の長編映画を、東京の皆さんと共有できてうれしい」と笑顔で話していた。

 第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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