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2017.10.26 [イベントレポート]
リティー・パニュ監督推薦の若手監督4人、カンボジアの“いま”と自らのルーツ語る『カンボジア若手短編集』
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eiga.com

 第30回東京国際映画祭の国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA #4 ネクスト!東南アジア部門の「カンボジア若手短編集」として、「ABCなんて知らない」「赤インク」「三輪」「20ドル」の4作品が10月26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映された。それぞれの監督を務めたソク・チャンラド、リー・ポーレン、ニアン・カビッチ、サン・チャンビサルが来日し、ティーチインを行った。

 今回特集された4作品は、いずれも第66回カンヌ国際映画祭・ある視点部門で最優秀作品賞を受賞した「消えた画 クメール・ルージュの真実」のリティー・パニュ監督が、自ら主宰するボパナ視聴覚リソースセンターのスタッフとともに推薦したもの。貧困や性犯罪、政治などカンボジアの“いま”を切り取った4人の新鋭たちは、「映画監督になるなんて思ってもみなかった」と口をそろえ、映画を学ぶ機会と東京国際映画祭への招待に感謝を述べた。

 クメール・ルージュの独裁政権時代に強制的に結婚させられた夫婦のその後に焦点を当てた「三輪」のメガホンをとったニアン監督は、現在29歳。「映画を見るのは好きでしたが、カンボジアには映画の学校などはなかったので、まさか自分が映画監督になれるとは夢にも思っていませんでした」と胸中を告白した。2009年に映画のワークショップに参加し、本格的に映画を学び始めた。今作の始まりは、練習として製作した両親の実体験を映すドキュメンタリーだったといい、「親の強制結婚について踏み込んだ話を聞くうちに自分が苦しくなってしまい、ドキュメンタリーからフィクションに切り替えたんです」と明かした。

 男友達にレイプされた少女が、妹を守るために沈黙を破る姿を描いた「赤インク」を手掛けた現在27歳のリー監督は、自身が田舎からプノンペンに出てきたことから「プノンペンに住んでいる田舎出身の貧困者がどのような生活をしているのか気になった」ことが製作のきっかけになったと話す。ホームレスの人々を観察するなかで、レイプ被害を受けた娼婦の話を聞き、「とてもショックを受け、もっとこの話について知りたい、皆さんにも知らせたいと思いました」と語気を強めた。

 愛とお金の間で揺れ動きながらも、幸せを見いだそうとする純真な少女の人生を描いた「20ドル」のサン監督と、父子の姿を通し、貧困から抜け出すために教育がいかに重要かを浮かび上がらせた「ABCなんて知らない」のソク監督は、ともに“金銭の価値”をテーマに映画を製作。22歳のサン監督は「奨学金をもらってビジネスと英語を勉強したが、大学2年生になっても自分が何になりたいのかわからなかった」と振り返り、「12年にイギリスのメディアBBCのワークショップに参加し、映像制作に興味を持ちました」と自らのルーツを語った。一方、24歳のソク監督は、今作を製作したことでプノンペンで敵視されがちな貧困層の人々に光を当てられたことに感謝を述べていた。

 第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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