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2017.11.01 [イベントレポート]
「映画の暗黙のルールのようなものに縛られずに作品を完成することができた」10/27(金):Q&A『大仏⁺』

大仏+

©2017 TIFF
オープニングイベント・レッドカーペットに登壇したホアン・シンヤオ監督

 
10/27(金)、ワールド・フォーカス 台湾電影ルネッサンス2017『大仏⁺』の上映後、ホアン・シンヤオ監督をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
ホアン・シンヤオ監督:東京のみなさまこんばんは。ここでみなさまとお会いでき大変うれしく思います。
 
Q:短編の長編化作品ということで予算も増加したかと思いますが、モノクロで作品を仕上げた意図を教えてください。
 
ホアン・シンヤオ監督:おっしゃる通り、短編で撮影した際は予算が少なかったため、経費不足を技術的に補うため、カラーとモノクロを対比させて作品を作るという手法をとりました。長編化の際には確かに資金自体は十分に確保できていたのですが、すでに作品のスタイルのようなものが短編の製作時に確立されていたため、そのスタイルを貫き、世の中の底辺に相当する人たちをモノクロで、華やかな生活を送っているお金持ちの人たちをカラーで描写することで、これらの対照が際立つようにしました。例えば、資金的に困窮している人々が低俗な雑誌などを見て上層階級の人々をひがみ半分で悪く言っている様子の描写など、特にこうした演出は効果的なったと思っています。
 
Q:監督ご自身がナレーションをしている意図は何かありますか?
 
ホアン・シンヤオ監督:私はもともとドキュメンタリー映画を手がけていて、通常のフィクション作品は本作が初めての監督作なります。映画製作の際には自分のスタイルを貫きたいとずっと思っていて、ドキュメンタリーを撮影する際には自分でナレーションを入れるというのが私の一つのスタイルになっていました。そのため今回も、自分がナレーションをすることで私のスタイルを作品に出せると考えました。しかし一方で、フィクションの作品で監督自身がナレーションを入れるというケースは少ないのではないかと心配もしていました。プロデューサーに相談したところ、「そんな映画のルールやマナーみたいなものは気にするな」と言ってくれたので、本作でも自分のナレーションを入れるスタイルを貫くことができました。私は映画を専門に学んだ経験がなかったので、映画の暗黙のルールのようなものに縛られずに作品を作ることができたのではないかと思います。またこのように自由に作品を作ることを許してくれたプロデューサーには大変感謝しています。
 
Q:本作の最初の方にツートウピー(猪頭皮)が出てきたと思うのですが、彼がこの作品に出演することになった経緯を教えてください。
 
ホアン・シンヤオ監督:この映画にはリン・シェンシアンのチームが音楽を担当してくれたのですが、風呂場のシーンではその音楽チームではなく、ツートウピーという台湾の歌手の方に担当していただきました。場所は台湾の台中にあるモーテルで、かなり高額で、最大の部屋です。カラオケがあり、ベッドもあり、パーティが開けるという特別な部屋を選びました。最初は女性が付き添ってくれるバーなど別のシチュエーションも考えたのですが、本作には風呂場の方がよりふさわしいと考えました。中国語に「酒池肉林」という非常に低俗な宴を示す言葉があり、それにぴったりな場所だと思い選びました。
 
Q:キャストについて
 
ホアン・シンヤオ監督:短編の映画では登場人物は、ツァイプーとドゥーツァイと、大仏を作っている工場の社長のチーウェンの三人だけでした。この『大仏』という作品は私が初めて書いた短編の脚本で、『大仏+』はやはり私が初めて書いた長編の脚本です。長編の脚本を書く時は一から書き直しました。短編から長編の撮影が終わるまで三年かかり、短編を撮り終わってから脚本を書き直す時間が一年以上ありました。そこで、登場人物を加えることで主役の二人と工場の社長をもう少し膨らませたいと考え、彼らの友人たちを加えることにしました。友人たちに三人のストーリーを後押しして前に進めるような役割をしてもらいたいと思ったのです。チーウェンは工場の社長ですので、彼と一緒に結託しているよからぬ友人がいるに違いないと考え、国会議員とか副議長とかそういう人を友人としました。更に彼女や売春相手などを加えていきました。
そのあとジャガイモという役名のキャラクターを加えました。この映画の舞台になっているのは、台湾の中でも街と田舎の境目のような所です。その辺りに住んでいる人たちというのは、若い人でも教育をあまり受けておらず、教育レベルが高くないがために田舎から出ていくことができなくて、生まれた所の近くで仕事をしている、また奇妙な仕事をしている人も多いです。
 
司会:最後に締めのお言葉をお願いします。
 
ホアン・シンヤオ監督:今回、東京国際映画祭に来られてとても嬉しいです。そして、ここで皆さんに会えてとても嬉しく思っております。この映画を通して台湾を観光という表面的な部分以外でも知っていただき、台湾の人たちの命の物語を少しでもご理解いただけたら嬉しく思います。ありがとうございました。

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