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2017.10.31 [イベントレポート]
原 恵一監督、アニメと実写の垣根を越える柔軟な製作姿勢 根底にある“山田太一イズム” 『カラフル』
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   原 恵一監督による長編アニメ『カラフル』が10月31日、第30回東京国際映画祭内の特集企画「映画監督 原 恵一の世界」で上映された。原監督は、映画評論家の町山智浩氏とともにTOHOシネマズ六本木ヒルズでのトークショーに出席した。

 直木賞作家・森 絵都氏のベストセラー小説をアニメ映画化。天上界と下界のはざ間でさまよっていた“ぼく”の魂は、プラプラという名の天使から人生に再挑戦するチャンスを与えられ、自殺した少年・小林真の体に入り込む。真として生き返った“ぼく”が、真らしくない振る舞いを続けるうち、周囲の環境が少しずつ変わっていく。

 原監督は、アニメーションのみならず「はじまりのみち」などの実写作品も手がけており、その活動は多岐に渡る。町山氏が、本作に対し「ファンタジー的なものがないのですが」と指摘すると、原監督は「ファンタジー作品で、しかもアニメなので、いくらでも飛躍(した表現)はできたと思う。だが、あえてそういうことをしないで、実写みたいな感覚で作ろうと思った。シリアスなものを扱っているので、そのほうが良い映画になると思った」と告白。その意図を、「アニメの得意な要素をどんどん封印してやっていこうと思った。必要のない盛り上げはしない。家庭のなかの日常や、食事のシーンを丹念に描いて、家庭内のいびつな親子関係みたいなものを印象づけたかった」と説明した。

 これに対し、町山氏が「反アニメ的というような具体的な意識があり、狙って作ったということでしょうか?」と切り込むと、「基本的にアニメーションの監督としてやってきていますが、アニメーションというものにそれほど思い入れがないんですよ、実は。絵コンテを描いている時は、実写のコンテを描いている気分なんですよね。ラッシュを見た時に『ああ、アニメだったわ』と気づく(笑)」とおどけてみせ、アニメと実写の枠にとらわれぬ柔軟な制作姿勢をうかがわせた。

 さらに町山氏は、本作の演出やプロットを例にあげ「僕は本作を見ていて、山田太一さんのドラマを思い出しました。そこは意識しましたか?」と問いかける。原監督は、「めちゃめちゃしましたね。僕が世界一尊敬して、世界一影響を受けた脚本家は山田太一さん」と即答し、「小学生の時に『木下恵介アワー』というドラマシリーズがあったんです。そのなかの『二人の世界』というドラマが大好きで。その脚本を書いていたのが山田太一さんだったんです」と述懐。そして、「ある人が山田太一さんとの対談を企画してくれた。山田さんにオファーしたところ、僕のことを知らないので『作品がみたい』と言ったらしい。企画者が『河童のクゥと夏休み』と『カラフル』を送ったら、『この人とだったら会いたい』と言ってくれたらしいんです。本当にね、やばかったですよ(笑)。会いたいけど、会うのが怖いみたいな」と“憧れの人”との初対面を振り返った。

 第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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