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2017.10.31 [イベントレポート]
「監督が作り出したいものを皆で一緒に探求していく喜びをすごく感じた現場でした」10/27(金):Q&A『うろんなところ』

10/27『うろんなところ』Q&A

©2017 TIFF

 
10/27(金)、日本映画スプラッシュ『うろんなところ』の上映後、池田 暁監督、プロデューサーの碓井千鶴さんをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
池田 暁監督:最初は碓井さんから15分の短編を作ってと言われて、『にょらがに会う』を撮っていたのですが、また夢の話を短編で撮りたいなと思ってところ、もう一本撮りたくなってきて。そのうちにそれらを一緒にしちゃおうと思って、碓井さんに頼んだら「いいよ」みたいな感じだったので、今回の90分の作品になりました。
 
Q:監督というのは、どんどんいろんなアイディアがでてきて、どんどんやってしまうものなのですか?
 
碓井千鶴さん:私自身はあんまり細かいことを聞かないタイプなのですが、池田監督の場合、ちょっと夢の話をしたらその背後に理解しきれない面白いことを抱えているというのを滲ませているんですよね。「長編にしたい」って言ってきたときも、現実的にはいろんな問題があったのですけど、絶対面白いのだろうなっていうことは確実に匂わせてくるので、そういう大きなものをいつも持っているな、という風に思います。あんまり大きなことを言ってはこないのですけれども、後ろに大きな夢というか、物語を持っているなというふうに思います。
 
Q:「にょらが」は夢でご覧になったのですか?
 
池田 暁監督:そうですね。この映画自体が夢で見たものを再現するというか、いろんな夢をくっつけているのですが、実は僕の夢だけじゃなくて、いろんな俳優さんたちや碓井さんから見た夢を聞いて、それをくっつけた感じですね。まあ、「にょらが」の他に全体の6割ぐらいは僕の夢ですね。
 
Q:撮影時にカメラ動かすことはありましたか?また、最後の方は小津安二郎監督の影響を感じましたがいかがですか?
 
池田 暁監督:カメラ全部固定のままで撮りました。僕も小津さんの映画は大好きですし、いっぱい見ていますが、あんまり意識したことはないです。たぶん小津さんの映画というのは世界中のいろんな監督に影響を与えていると思うし、僕も影響を受けているのかな、という気はしています。
 
Q:全体を通じて、ちょっとクラシックな日本の暮らしというトーンで統一されているのは監督の好みなのでしょうか?
 
池田 暁監督:好みですね。ああいう古い建物とか昔っぽい風景など日本的なものがすごく好きです。実は、もうなかなか見かけなくなって、それは建物自体がどんどん無くなってしまっているので。なので、日本的ですけど現代的ではないし、映画として時間とか空間をあまり固定したくなかったので、ああいう風景を背景に映画を撮っている感じです。
 
Q:つげ義春さんの影響はいかがでしょうか?
 
池田 暁監督:つげ義春さん、僕は大好きですね。水木しげるさんの漫画も大好きです。子供のころはいろいろな漫画を読んでいたと思うのですが、大人になって読み返す漫画って、何で何回読んでも面白いのかなと。別にストーリーとかではなくて、漫画の中に描かれている風景とか雰囲気とかを感じたいので読み返している感じです。そういった背景なども含めて、僕は映画の中でもそれらを大切にしたいと思っています。
 
Q:「うろん」というあまり聞きなれない言葉をタイトルに選んだ意味やイメージされるものはあったのでしょうか。
 
池田 暁監督:僕も「うろん」という言葉は普段聞き慣れないですし、ほぼ使われていないと思うんですね。それには無くなっていく建物と同じようなものを感じて、「うろん」という言葉は僕はとても好きなんだなと思って、あまり使われていないという意味合いも込めて「うろん」という言葉を使いました。
 
Q:例えば、いまから三年前に立ち戻って、この映画をよくするために変更点があるとしたら、どういったことがあると思いますか?
 
池田 暁監督:もし変えるとなると、僕はまた寝ていっぱい夢を見なきゃいけないですね(笑)。もうちょっといい夢を見られたら、もっといい映画になるかもしれないし、悪夢だったら怖い映画になるかもしれないし…その点については僕も何とも言えないですね。
 
Q:役者さんには、この作品についてどのように説明したり、どんなアプローチをしたのか教えていただけますか?
 
池田 暁監督:『にょらがに会う』という作品を撮り始めてから今回の作品へと派生していったので、役者本人に聞いてみないとわからないですが、彼ら自身も何をやっているのかわからなかったんじゃないかな。全編に関わっていた撮影の長田水紀さんでさえ、『にょうらがに会う』を撮っているのか、『うろんなところ』か、もう僕にしかわからない感じになっていることが後半結構ありました。ただ、役に関しては一貫性がありましたし、わからなくなってきても皆さん優しかったです(笑)。
 
Q:現場の様子はいかがでしたか?
 
碓井千鶴さん:池田組は皆がすごく仲が良いんです。もちろん現場では監督がすべての指示していくのですが、私もご飯を作ったりとか、それぞれが助け合いながらやっていくようなところがあります。そのような手作り感と、言葉では理解しきれていない池田監督の見たいもの、創り出したいものを皆で一緒に探求していくような喜びが、すごく感じられました。
 
Q:「にょらが」や「うろん」という言葉は、調べても簡単には出てこない言葉ですが、その発想はどこから来るのでしょうか?
 
池田暁監督:「うろん」は先ほど言った通りで、「にょらが」や最後に出てくる食べ物の名前も夢から出てきたものです。どのように説明していいのかわからないので「なんで僕はいまここでQ&Aをやっているんだ?」って感じですけど(笑)。その答えは、「なぜならそれは“夢で見たから”」というのが回答ですね。
とても変わった映画だったので、93分間皆さんよく付き合ってくれたなっという思いです。最後まで観ていただいて、僕もちょっと勇気が湧きました(笑)。ありがとうございました。

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