山田洋次監督による喜劇「家族はつらいよ」の続編『家族はつらいよ2』が10月30日、第30回東京国際映画祭Japan Now部門の特集企画「銀幕のミューズたち」で上映され、本広克行監督がTOHOシネマズ六本木ヒルズでQ&Aを行った。
映画は、橋爪功演じる平田周造をはじめとする一家の騒動を描いた山田監督によるシリーズ第2作。熟年離婚をテーマにした前作に対し、今作では無縁社会を取り上げ、周造と妻の富子を演じる橋爪&吉行和子をはじめ、長男夫婦役の西村雅彦&夏川結衣、長女夫婦役の中嶋朋子&林家正蔵、次男夫婦役の妻夫木聡&蒼井優が再結集した。2018年5月には、同監督&キャストで第3作「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」が公開されることが決定している。
本広監督は、スケジュールの都合で急きょ登壇がかなわなくなった女優・蒼井優のピンチヒッターとして、山田監督からの指名で登場。普段から親交があるという山田監督の意外なエピソードを披露した。自身の監督作である「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(2003)が実写の邦画で歴代興収1位を記録していることで、山田監督から「どうやったらあんなにたくさんの人に見てもらえる映画が作れるんだい?」とアドバイスを求められ、「映画を見に来るのはまず女性。(上映時間が)2時間を超えるとお手洗いを気にしますから、短めにした方が良いですよ」と答えたという。
その後、実際に山田監督作品の上映時間が短くなり、「冗談のつもりで言ったんです。それが本当になって、『山田さんの味がなくなったよ』ってほかの監督たちから僕が怒られたりして」と苦笑い。「あんな巨匠なのに、いつも興行のことを意識されている。それだけたくさんの人に見てもらいたい、笑って泣いて欲しいとおっしゃられていた。ちょっと影響を及ぼしてしまったんだなと。怖いですね、巨匠の前でしゃべるのは」と恐縮した様子で語っていた。
またこの日は、山田監督から寄せられたビデオメッセージが披露された。蒼井を「大変素敵な女優さんで、前からのファン」と明言した山田監督は、蒼井が今シリーズで演じる憲子は「原節子さん、小津安二郎へのオマージュ」と話し、「小津安二郎の映画に原さんが紀子という名前で出てくる。そして、演出家である小津が1番心のなかに秘めていて、ちょっと伝えたいことを(紀子に)語らせる。僕の作品でも蒼井くんにそういう役割を果たしてもらっているつもりです」と明かしていた。