日本とミャンマーの共同制作映画『僕の帰る場所』が10月29日、開催中の第30回東京国際映画祭のアジアの未来部門でワールドプレミア上映された。長編映画初監督を務めた藤元明緒をはじめ、出演のカウンミャットゥ、ケインミャットゥ、アイセ、テッミャッナイン、來河侑希、黒宮ニイナ、津田寛治、マウンテイアウンがTOHOシネマズ六本木ヒルズでのQ&Aに出席した。
映画は、在日ミャンマー人の少年と、その家族による愛の物語。祖国ミャンマーを離れて日本で暮らす一家が、“ある通知”を受け取ったことから、彼らを取り巻く状況が大きく変わっていく。「ミャンマーの俳優と共演した感想」を問われた津田は、「アイセさんは、劇中に出てきたアパートにそのまま住んでいた」と言い、準備~撮影期間の1カ月間に渡り、アイセが撮影現場のアパートに住んでいたことを告白。「勉強になりました」と役者魂を称えた。
一方の來河は、役作りについて触れ「入国管理局などで日本に住む在日ミャンマー人の方々のケアやボランティアをしている役をやらせていただきました。役作りで実際に入管に行って、インタビューをさせていただいたり、ミャンマーの難民キャンプにも行かせていただいた。芝居ということを忘れ、普段の生活から役になり切って生活するというアプローチをしました」と語った。
また、「生まれも育ちもミャンマーで、10歳から今まで、こちら(日本)に住んでいる」という黒宮は、「私も劇中の子どもたちと同じ心境。日本に住んで長いのですが、最初はミャンマー語しか話せなくて、日本の友達がいないという状況だった。だんだん、意識も夢も日本になってしまっていて、日本人なんじゃないかとどこかで思うこともある」と劇中の子どもたちの姿に、自らを重ねていたことを明かした。その上で、「日本が長いけれど、母国の言葉、ミャンマー語を忘れないで欲しいなという希望を抱きながら、この映画に参加できてうれしく思います」と話した。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。