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2017.10.28 [イベントレポート]
『光』河瀨直美監督、夜空に浮かぶ花火&映画の共通点を解説
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   永瀬正敏と水崎綾女が共演した『光』が10月28日、第30回東京国際映画祭のJapan Now部門で上映され、河瀨直美監督が東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでのQ&Aに臨んだ。

 本作は、弱視が進行しているカメラマン・中森雅哉(永瀬)が、バリアフリー映画のモニター会で音声ガイドを作成する尾崎美佐子(水崎)と出会い、衝突しながらも理解を深めていくラブストーリー。同部門のプログラミング・アドバイザーを務める安藤紘平氏が「(河瀬監督が)自身にナイフを突きつけたような作品」を言い表すと、納得の表情を浮かべた河瀨監督は「“見えない”状況に陥っていく主人公を、映画としてどの様に見せるのかという点に繋がります。構成、編集に時間のかかった作品」と述懐していた。

 「どこまで監督は語るべきか」「どこまで観客にゆだねるべきか」というテーマを指摘された河瀨監督は、雅哉と美佐子が参加するモニター会のシーンを例に挙げ「美佐子は最初、言葉を足していくという作業をする。それに対して、雅哉は押しつけがましい、過剰だろと反応します。このシーンは表現者にとって常に突きつけられている題材」と切り返した。続けて「言葉が足りなさすぎてもいけない。雅哉が投げかけるセリフは、美佐子にとっては本当に突き刺さるものなんです」と語っていた。

 「光」の着想が生まれたのは、前作「あん」を引っ提げてカンヌ国際映画祭に向かう時のことだった。「音声ガイドの方から、『あん』のバリアフリー上映用の最終チェックをしてほしいと頼まれていたんです。普段は制作会社に作業を任せていたんですが、どうしても監督に見てほしいとのことだったので、カンヌに向かう飛行機の中で見たんです。そしたら衝撃が走った」と当時の心境を告白。「私の作品はセリフが少ない。だからこそ、内容を説明するために加えられた言葉のひとつひとつに、ものすごい愛情を感じたんですね。(音声ガイドの方は)映画をとても愛している人だと思って、この人を主人公にすれば、映画への愛を表現できるんじゃないかと思ったんです」とエピソードを披露した。

 秋田で開催されている全国花火競技大会「大曲の花火」の審査員を務めている河瀨監督。「花火の“光”を見たことで、映画に影響はありましたか?」と観客から問われると「(大曲の花火には)音楽にのせて打ち上げる“創造花火”があって、これが映画にとても似ているんです」と答えた。「ある作品で涙が出たものがあったんです。最後に花火がボトンと落ちたものだったんですが、これは減点の対象になる。でもハートに迫るものがあって、職人さんと話してみたら『死んだ親父のためにつくった』と。わずかな時間でその思いを感じとれた。映画と同じように、1個のショットのこだわりではなく、物語のフローがどう通じていくか。“見えないもの”が絶対に伝わる世界なんです」と熱弁していた。

 第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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