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2017.10.27 [イベントレポート]
「主人公のイデオロギーが最終的に自分を滅ぼすところに導く循環を作ってしまう、ということを映画にしたかった」-10/26(木):Q&A『ペット安楽死請負人』

『ペット安楽死請負人』ニッキ監督&オンニスマーさん

© 2017 TIFF

 
10/26(木)、コンペティション『ペット安楽死請負人』の上映後、テーム・ニッキ監督(監督/脚本/編集/美術/衣装)、マッティ・オンニスマーさん(俳優)をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
テーム・ニッキ監督:私は東京にくるのが今回で2回目になるのですが、本当にこの街が大好きです。特にラーメンが大好きで、今回もラーメンが食べられるという楽しみもあり、東京にやって参りました。
 
マッティ・オンニスマーさん:皆さんこんにちは。私は今回初めての日本なのですが、実は小さい頃からいつか日本に行きたいなという夢を持っていました。まさか、それが初の主演で登場した映画で来日することができるとは、夢にも思っていませんでした。
 
司会:ありがとうございます。監督に最初の質問をお伺いしたいのですが、この作品は動物版ダーティ・ハリーというような呼び方もされているのですが、このペットを安楽死させるというアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?
 
テーム・ニッキ監督:私は70年代の映画が大好きで、その頃から主役がすごく強く自分らしくて、何を求めているのか、何を主張しているのかがすごくはっきりとしたキャラクターを作りたいなと、そういう主人公を目指したいなと思っていました。
これは私なりに解釈したカルマで、主人公のイデオロギーが最終的に自分を滅ぼすところに導く循環を作ってしまう、というようなことを映画にしたかったんです。
 
司会:ポスターも70年代風で良いですね。
 
テーム・ニッキ監督:はい(笑)
 
司会:ありがとうございます。本当に主役のマッティさんの印象が強烈です。ずっと一緒に映画を作りたいと監督はおっしゃっていたようですが、今回は本当にマッティさんを想定して役を書いたのでしょうか?
 
テーム・ニッキ監督:はい、脚本ができる前からすでに主役は絶対マッティにお願いしたいと決めていました。実際に10年ほど一緒にいろいろ仕事をしてきて、その長い10年の間でいつか必ず長編映画を作って、その映画の主役を絶対にマッティにお願いするんだと思っていました。
マッティさんも実際は数百もの映画に出演されているのですが、主役が初めてということで、ぜひ私の映画で初の主役を演じてほしいという強い気持ちのもと、お願いしました。
 
司会:マッティさんは初主演とはいえ何百本も演じてきたと思いますが、主演だとやはり違いましたか?
 
マッティ・オンニスマーさん:普段自分の演技や役作りを分析しないので、なんて答えいいのか悩んでしまいますが、主役ということで、主演になると責任が重いのかなと感じました。
もともと責任感は強くて必要以上いろんなものを背負いこんでしまう性格なので、このお話をいただいた時はすごく怖かったですし、本当に自分が役になりきれるのだろうか、これだけの責任を負えるのだろうかと非常に悩みました。
今回主役を演じてみて、小さな役というのはないと感じました。何が小さいかというと、小さい役に対する役者の気持ちです。役者が小さいのであって、どんなに小さな役であっても一生懸命取り組んで本気で向き合って役作りをしています。
 
Q:冒頭で主人公が狭いアパートに閉じこめられて閉塞的な環境で苦しめられてきたという状況を分析したり、主人公の父親が延命を拒否したりする、本人も同じような状況に最終的になるというシーンは非常に印象に残って、ペットの安楽死と延命措置の拒否がとてもリンクしていると感じました。どのような思いで描かれたのでしょうか。
 
テーム・ニッキ監督:とてもいい質問をありがとうございます。
何と答えるか非常に悩みましたが、主役の信念として動物たちが苦しまないようにしてあげなければいけないという、ペットを苦しめることに対する否定的な考えがあります。一方で、自分の父親に対しては、容赦なく苦しんでほしいという、ずっと長い間自分の中で育ってきた恨みの気持ちがある。この二つの気持ちを兼ね備えている役なのです。
一見良いことをしているように見えますが、実は自分の父親に対しては非常に厳しく、裏切られた思いや恨みがあることで、ペットには優しくできるが父親にはその優しさが出てこないといった両極端の部分を主人公は持っています。そういうことを考えながら作り上げました。
 
Q:最初にこのテーマを決めたのは、監督もペットが好きでペット問題を扱いたかったからでしょうか、それとも安楽死を取り上げたかったからでしょうか。
 
テーム・ニッキ監督:もともとは、ペットの安楽死というか、ペットに関係するテーマにするつもりはありませんでした。むしろ安楽死について、いろいろ考えているうちに、それから相手に痛みを与えることだとか、自分が痛みを受けることという、痛みについて考えていたなかで、ペットがそれを表現するのには最適かなということにたどり着きました。なぜなら、私たち人間もペットと同じだと思うのです。映画に登場した猫たちや犬たちと我々とで、なんの差もないと考えています。
目には目を、歯には歯をというような考え方は自分の中に特にないのですが、カルマの法則を考えたときに、やっぱり自分がやったことっていうのは自分に降りかかってくるのかな、そういうようなサイクルはあるのかなという風に感じました。
日本にはあると伺った、ペットが飼えなくなったから殺処分してしまうというシステムが、フィンランドにはないです。
詳しく知っているわけではないですが、文化の違いがあるのではないかと思います。
 
司会:ありがとうございます。監督から最後に締めのご挨拶お願いします。
 
テーム・ニッキ監督:本日は私達の映画を、こんなに大勢の人に見に来ていただいたことに、本当に心から感謝いたします。皆様に今日お会いできたことをとても嬉しく思います。ありがとうございました。

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