第30回東京国際映画祭で、「日中映画交流の新たな展開」と題した会見が10月26日、六本木アカデミーヒルズで行われ、国際交流基金、ユニジャパン、上海国際映視節有限公司による日中国交正常化45周年の記念事業などが発表された。
両国のさらなる交流の深化を目指し、互いの国の映画を上映する特集を実施。中国では12月1~3日に上海、昆明などで来年2月公開の「不能犯」をはじめ、「美しい星」「武曲 MUKOKU」「ユリゴコロ」など今年公開された新作を計9本上映する。日本では来年3月8~14日に東京、大阪、名古屋で中国映画の新作10本を上映予定で、作品は追って発表される。
会見には、チェン・カイコー監督の日中合作「空海 KUKAI」に出演した松坂慶子と、原作者の夢枕獏氏も出席。松坂は、1978年の日中友好映画祭で初めて中国を訪れたことを明かし、「北京や大連などを電車やバスで移動する中で中国の方々と交流し、大陸的なおおらかさに勇気づけられたことを思い出しました。それからもう、40年もたつんですね」と懐かしそうに語った。
出演に際しては、「チェン監督は長年のあこがれだったので、実現して夢のよう。現場でも、歴史に残る映画を作ろうと真摯な熱い思いを貫かれていました」と感銘を受けた様子。楊貴妃の謎を解く秘密を握る白玲という役どころで、「私は万葉集が大好きで、阿倍仲麻呂を慕って中国に渡った女性を演じることに縁を感じてうれしかった。きっと愛と美にあふれた、皆さんを酔わせる素敵な作品になっていると思う」と言葉に力を込めた。
原作小説が中国語で翻訳出版されている夢枕氏も、「撮影現場を訪れた時に、唐の街ができていくのを目の当たりにして涙がこぼれてしまった。映画化の構想から10年たつが、本当に楽しい10年で、公開がきてほしくないという気持ちもある」とジョーク交じりに感動を表した。
KADOKAWAの角川歴彦会長によれば、同作のワールドプレミアを12月17日に北京で行い、年内に中国で封切った後に日本は来年2月24日に公開される。その前の1月からは、中国で興収1000億円を超えた「戦狼 ウルフ・オブ・ウォリアーズ」、ジョン・ウー監督が「君よ憤怒の河を渉れ」をリメイクした「追捕 MAN HUNT」を連続公開することも明かした。また、政府からは日中間で交渉を進めてきた共同映画製作協定が9月末までに大筋で合意したことが発表された。