10/30(月)、コンペティション『勝手にふるえてろ』の上映後、大九明子監督、白石裕菜プロデューサーをお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
Q:“イチ”と“ニ”のキャスティングについて
大九明子監督:どういった方にお願いするか、プロデューサーの白石裕菜さんとも話し合っていました。いろいろな方の過去の作品を拝見している中でたまたま北村匠海さんと渡辺大知さんがいいだろうということになって、お願いしました。よく考えたら二人ともミュージシャンでしたね。
とにかく二人とも声が、上の音と下の音が同時に出ているような、ハスキーでもなく、素敵な声をしていて、映画を作っていく中で私は音楽を流すのなら歌にしたいなと思いました。登場人物の誰かが歌っている歌にしたいなと思ったので渡りに船といいますか、ちょうどいいということでお願いする流れになりました。
Q:主演を松岡茉優さんにした決め手は?
大九明子監督:私は松岡茉優さんとこの作品以前に2本、お仕事をさせていただいて、彼女の現場での佇まいを垣間見ることがよくありました。今回の作品では妄想の中での会話劇もあって、そういう描き方をしようと決めたときに、彼女が必要だと思いました。発想の原点に彼女がいたので、お願いせざるを得ないという気持ちになりました。彼女でなければ、このめちゃくちゃな(笑)シナリオをお預けするわけにはいきませんでしたね。
白石裕菜プロデューサー:最初に監督からお話をいただいた時点で、松岡茉優さんでやりたいとおっしゃっていて、ガールズムービーにしたいというよりは、最初からこの作品の主人公のような人々に届ける妥協のない映画にしたいですね、とお話ししていました。結果的に監督も主演も女性になりましたので、ガールズムービー的な見え方になるかもしれないですが、松岡茉優さんでやるなら会話劇でやりたいと、最初から念頭に置いていました。
Q:ミュージカル調になった部分もとても面白かったです。そのシーンを撮るためにキャスティングに影響はありましたか?
大九明子監督:俳優の方々のことは考慮せず、脳内での会話を説明することにあたって、いろいろ考えました。たとえば、急にモノクロにしてみるとか、縦横比のアスペクト比を変えてみたり、観客の方に、ん?これ?って思ってもらえるような方法をとるというのも考えました。でも主人公を見ている人に届けるには、言葉で説明しようと、セリフとして書きました。突然一人語りをカメラに向かってはじめる異質なところに音楽をつけて、思い切って振り切ろうと発想して、歌という選択肢になりました。ちなみに歌はすべて現場で松岡茉優さん本人が歌っている、いわゆるレ・ミゼラブル方式です。
司会:ありがとうございます。最後に改めて監督からひと言お願いします。
大九明子監督:この日が来ることが待ち遠しいような、怖いような日々でして、お客様に観てもらえたということでドキドキが始まっておりますが、願わくば大事な映画となって皆様の中に届き、育ってくれればと思っております。本日はありがとうございました。