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2017.11.01 [イベントレポート]
社会が激変した90年代後半を描いたノワール映画監督、中国の観客の多様性語る 『迫り来る嵐』
『迫り来る嵐』  
eiga.com

 第30回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された中国映画『迫り来る嵐』が11月1日上映され、ドン・ユエ監督、俳優のドアン・イーホンが、記者会見を行った。

 古き良き工場文化が廃れ、経済発展に向けて中国社会が激変した90年代後半を舞台に、
捜査にとりつかれた男の運命と愛の行方を、ダイナミックな演出で描くフィルムノワール。

 暗い結末を予感させるダークな映像とカメラワークが特徴だ。ドン監督は「ロケハンで舞台となる街を訪れ、昔の工場が残っている雰囲気に驚いた。当時の産業独特のデザインがこの物語のミステリアスな感じに合うと思い、感じたままに映した」と映像へのこだわりを語る。自身にとって長編第1作であり、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(1958)とフランシス・フォード・コッポラの『カンバセーション 盗聴』から大きな影響を受けたと明かす。

 TVドラマ「項羽と劉邦」などに出演、人気俳優の一人として知られるドアンは、「90年代という設定で、自分が経験したことのない労働者の役。難しければ、難しいほど興味がわくので、役者魂に訴えるものがあった。セリフに生命力を与えるように、時間をかけて努力した」と刑事という仕事にあこがれる国営工場の警備員という難役についての役作りを振り返った。

 中国でフィルムノワールというジャンルが確立されているかどうかという質問を受けたドン監督は「今の中国の観客はいい映画を見たいと思っています。映画市場が開放され、様々なジャンルの作品が増えてきました。(観客も製作側も)従来の伝統的な中国映画だけではなく、より大きな可能性を求めている。そういった良い時期に巡り合って、このような作品を見てもらえるようになった」と、観客の映画の好みの多様性に合わせた映画製作が行われているという中国映画界の現状を語った。
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 第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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