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2017.10.30 [イベントレポート]
「男と女は同じ人間であるということは、この映画がまさに伝えたいこと」10/26(木):Q&A『アリフ、ザ・プリン(セ)ス』

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©2017 TIFF
写真左より、マット・フレミングさん、チェン・ジューションさん、チャオ・イーランさん、ウジョンオン・ジャイファリドゥさん、ワン・ユーリン監督

 
10/26(木)、アジアの未来『アリフ、ザ・プリン(セ)ス』の上映後、ワン・ユーリン監督、ウジョンオン・ジャイファリドゥさん(俳優)、チャオ・イーランさん(女優)、チェン・ジューションさん(俳優)、マット・フレミングさん(俳優)をお迎えし、Q&A が行われました。⇒作品詳細
 
ワン・ユーリン監督:この作品の監督と脚本を務めましたワン・ユーリンです。よろしくお願いします。
 
ウジョンオン・ジャイファリドゥさん:(日本語で)「皆さん、こんばんは。ウジョンオンです。」この映画を観に来てくださり、ありがとうございます。
 
チャオ・イーランさん:(日本語で)「皆さん、こんにちは。私はチャオ・イーランです。あだ名は、はっちゃんです。映画は良かったですか?良かったなら嬉しいです。日本語、これだけ話せます。」
 
チェン・ジューションさん:(日本語で)「皆さん、こんにちは。私はチェン・ジューションです。」今回、東京国際映画祭に来ることができて光栄です。たくさんの方々が観に来て下さって本当にありがとうございます。『アリフ』をお気に召していただいたら嬉しいです。
 
マット・フレミングさん:ありがとうございます。日本語ができないのでこれくらいで。
 
Q:ところでマットさんは、身長はおいくつなのですか?
 
マット・フレミングさん:ハイヒールを履くと2メートルちょっとあります(笑)
 
Q:監督に質問です。どのようにして今回のテーマで作品を作ろうと思われたのですか?
 
ワン・ユーリン監督:私は、20歳くらいの時から映画を撮りたいと思っていました。その当時から、同性愛の人がかなりいるということは知っていました。私自身は同性愛者ではありませんが、そのことを不思議に感じていたので、どうしてそのような世界があるのかと霊媒師に尋ねたことがあります。すると霊媒師は、「男も女も区別はありません。同じ人間です。」と答えました。私がいままで、さまざまな学術書を読んでも答えが得られなかったのに対して、その霊媒師は文盲で文字が読めなかったにもかかわらず、そのように答えてくれたのです。つまり、男と女は同じ人間であるということは、この映画がまさに伝えたいことなのです。ですから、今回、アリフ役を演じたウジョンオンが女性のように見えて、チャオが男性のように見えるというのは、そういうことなのです。
 
Q:俳優の皆さんは、どのように役作りをされましたか?役作りの上で、難しさやエピソードがあれば教えてください。
 
ウジョンオン・ジャイファリドゥさん:初めて脚本を読んだとき、特に変わった内容だとは思いませんでした。というのも、私の周りにはありがちなことだったからです。ただ、アリフという人物はとても個性的で、その個性は、アリフが原住民の出身であるがゆえの家庭環境から生まれたものだと思いました。私のいとこもトランスジェンダーで、その友達ともよく食事に行くことがあり、トランスジェンダーの人たちがどのように周囲の人と付き合っているのかということを観察しました。どうやら心と身体が一体化してないようなところがあるということを観察で気づきました。こうした人たちを観察しながら、アリフという役にアプローチしていきました。
 
チャオ・イーランさん:この役を演じるのは、少し難しかったです。それは、私とアリフの関係性をどのようにとらえたらいいのかというところでした。この物語では、2人の付き合いはかなり長いという設定であり、ルームメイトとして一緒に住むうちに、彼を愛するようになるという展開なので、そのあたりが難しかったです。しかし実際には、私がウジョンオンと知り合ったのは、映画を撮る1週間前のことなので、2人の人間関係をどう作っていくかというところが難しかったです。
次に難しかったのは、私の役柄がヘアスタイリストなので、ヘアカットやブローなど技術的に嘘っぽくならないように、練習しなければならないことでした。あとはバイクに乗るシーンがあり、大型のバイクに大胆にかっこよく、上手に乗らなければならなかったので、こうしたテクニックの面での難しさがありました。
 
チェン・ジューションさん:チャオ・イーランと比べると、私の方はラッキーでした。というのも、私の相手役のウー・ポンフォンは本当に親しい友人なので、安心して絡みのシーンができたわけです。その点はとてもよかったと思います。
私が役作りで参考にしたのは、日本と関係があります。それは、東京の居酒屋の雰囲気です。日本のドラマでは、サラリーマンが立ち寄る居酒屋がよく出てきますが、その居酒屋のママさんを真似して、シュリー役を演じました。
シェリーはお店を持っていますが、自分が愛する人の愛を手に入れることができず、そして、病になってこの世に別れを告げなければならないという設定です。そうした設定を演じるにあたって、私が次に参考にしたのは、日本の演歌です。台湾では、子供の頃から演歌を耳にしており、大人になってもずっと演歌に親しんでいます。特に私が好きなのは、美空ひばりさんの「川の流れのように」です。この歌は、歌詞が中国語に訳されていますが、シェリーを演じるにあたっては、この歌に大いに助けられました。歌います。(「川の流れのように」をワンフレーズ歌う)
中国語の歌詞は本当に良く、人生を歌い上げるという感じで、シェリーを演じるにあたって役に立ちました。まさに人生というのは、川の流れのように広い土地を悠々と流れていくものです。人生は美しい流れであります。シェリーはまさに川の流れのように決して自分でその人生を後悔することなく亡くなります。本当にこの歌が参考になりました。私にこの役をくださったワン・ユーリン監督に感謝したいと思います。ありがとうございます。
 
マット・フレミングさん:まず、この役をくださったワン・ユーリン監督に感謝したいと思います。この役を演じるにあたっては、わざわざ役作りすることはありませんでした。実は、私は台北にダンシングクイーンのような店を持っておりまして、まさにこうしたことをしております。私がこういう扮装をすると、周囲の人からハロウィンの時に来てくださいと言われることもありますが、そういう時には「いいですよ」と軽く受け流します。今回のこの映画への出演は、私にとってとてもいい経験になりました。異性の恋というものも、なんとなく理解できるようになりました。そして非常に面白かったです。こうして、女性のような恰好をしていても、自然な感じで演じることができたと思います。楽しかったです。
 
ウジョンオン・ジャイファリドゥさん:皆さん、実は今日は特別な日なのです。この映画を観ていただいたこともありますが、マットの31歳のお誕生日です。祝ってあげてください。おめでとう。
 
Q:面白い映画をありがとうございました。アリフのお父さん役で原住民歌手のキンボさんが出ておられました。役者をされている姿をあまり見たことがないので、驚いたのと同時に最高だと思いました。とても楽しめました。そこで興味を持ったのは、どうしてあの役をキンボさんにお願いしたのかということです。役のとおり、どちらかというと古い世代、古い価値観に属するキンボさんに、こうした役、こうしたストーリーを話されたときに、どのようなリアクションがあったのかをお伺いしたいです。
 
ワン・ユーリン監督:この方の歌はとても素晴らしく、台湾では原住民歌手としてとても重要な方です。そして、彼は自分で歌詞を書かれます。その歌詞は本当に素晴らしく、彼は詩人と言える人だと思います。詩人であれば、この映画の意味、役の意味もよくわかってくださると思いますし、年齢からしてもアリフのお父さんにふさわしい年齢です。
しかし、原住民の方たちと漢民族の人たちでは、男と女の区別について、考え方が少し異なります。原住民の方たちは、男と女の区別についてそれほど厳格ではないということが歴史的にあります。それは1つの習慣であり文化でもあります。
ですから、原住民の間では、例えば2つの魂が森にあるとしたら、それは男と女で、と双霊人(そうれいじん)と呼びます。「そう」は両方という意味の「双」で、「れい」は霊魂の「霊」ですね。そのように呼びます。そう呼ばれる人たちは巫女であったり、芸術家(アーティスト)であったりします。

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