アフリカはコンゴの辺境の地に暮らす青年は、家族に良き未来をもたらしたいと願っている。彼の持ち物といえば、自らの両手と周囲の森、そして鋼鉄の意志だけだ。労働の成果を売るべく街に向かうが、それは途方もなく過酷な道程であり、彼は努力の真の価値と夢の代償に気付いていく…。
都会で生活する者にとっては想像を絶する映像に唖然とするしかない、迫力と感動のドキュメンタリーである。コンゴで撮影経験のあった監督は、行商に向かう人々の姿に圧倒され新作の主題とすることに決める。彼らはいったいどこから来て、その積み荷の中身はいったい何で、それはいかに作られるのか?取材の過程で知り合った青年カブイタ・カソンゴの姿勢が気に入り、ともに映画の準備に入る。カブイタの日々を描く作品ではあるが、彼を一方的に撮ったわけではなく本作は彼と共同で作った作品だと監督は語る。自分で作った物を自分で売るという経済活動の最もシンプルな形が、いかに過酷でありうるか。カブイタの生き方を通じ、真の労働の価値について深く考えさせられること必至である。
カンヌ映画祭批評家週間作品賞受賞作。
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