第1次大戦下のフランス。男たちが出兵して不在の農場を女たちで守らねばならない。女主人のオルタンスは夫や息子の安否を気遣いながら気丈に振る舞い、職を求めてきたソランジュを雇って農家の仕事をやりくりする。オルタンスは働き者のソランジュを家族の一員に迎え入れるが…。
第1次大戦から100年が経ち、時代の転換期としての大戦が再検証されていくなか、ボーヴォワ監督は戦火を逃れた農業地域からふたつの変遷を描いて見せる。ひとつは価値観であり、旧世代のオルタンスは保守的な価値観で家の名誉を守ろうとし、新世代のソランジュと衝突する運命にある。もうひとつは産業面であり、農場に訪れる技術革新の模様を記録映画さながらに紹介する。当初は腰を折り曲げての手作業であるが、機械化が徐々に進み農民が重労働から解放されると、その歓びを観客も共有するだろう。ミレーの絵画を再現するようなキャロリーヌ・シャンプティエのキャメラの美しさは崇高の域である。そしてナタリー・バイの佇まいは神々しく、本作が彼女の代表作の1本になることは間違いない。
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